はじめに
3. 低ベータ株
【ポートフォリオに低ベータ株を組み入れる強み】
◆価格の安定性:低ベータ株は市場全体の動きに対して安定しており、暴落時にも比較的価格が下がりにくい特性を持ちます。
◆持続的な収益:低ベータ株を保有する企業は、経済環境に左右されずに安定した収益を上げる傾向があります。これにより、暴落時でも配当金などの収益を期待することができます。
◆リスク軽減:ポートフォリオに低ベータ株を加えることで、市場全体のリスクに対する抵抗力が高まり、投資の安全性が向上します。
【なぜ低ベータ株が暴落に強いのか?】
低ベータ株とは、市場全体の動きに対して価格の変動が小さい株のことを指します。具体的には、「ベータ値」が1未満の株を指し、一般的には安定した収益を上げる企業や、日常生活に欠かせない商品やサービスを提供する企業の株が該当します。
例えば、水産・農林業や食料品、公共事業などは景気の影響を受けにくく、経済が不安定な時期でも需要が安定しています。このため、株安局面では低ベータ銘柄が相対的に優位だといわれます。ポートフォリオのバランスを保つ役割を果たすといえるでしょう。
個別株もありますが、市場連動性等を表す3つのスコア(市場ベータ、為替ベータ、銘柄固有リスク)に基づいた定量的な指標値下位50銘柄を組み入れた「野村日本株低ベータ・セレクト50」という指数に連動する投資成果を目指す「NEXT NOTES 低ベータ50(ネットリターン)ETN」(2069)という選択肢もあります。ただ流動性は低いように見えますのでその点は注意が必要です。
4. 不動産投資信託(REIT)
【ポートフォリオにREITを組み入れる強み】
◆安定した収益源:REITは賃貸収入や不動産の運用益を元に配当を支払うため、安定した収益を期待できます。特に、暴落時にも賃貸収入が安定しているため、ポートフォリオ全体の収益を支える役割を果たします。
◆インフレヘッジ:不動産は一般的にインフレに強く、インフレ時には不動産価格や賃料が上昇する傾向があります。これにより、REITはインフレヘッジとしても有効です。
◆分散投資の効果:REITをポートフォリオに加えることで、株式や債券とは異なる資産クラスへの分散投資が可能になります。これにより、暴落時のリスク分散が強化されます。
【なぜREITが暴落に強いのか?】
REIT(Real Estate Investment Trust)は、不動産に投資する信託で、投資家は不動産の収益を享受することができます。REITは、オフィスビルや商業施設、住宅などの不動産から得られる賃貸収入が主な収益源となっており、安定したキャッシュフローを生み出します。
暴落時には、特に住宅や商業不動産に強い需要があるREITは、他の資産クラスよりも価格の安定性を保つことがあります。
REITは利回りの高い商品も多く、投資価格が暴落すると利回りは上がるわけですから、より暴落時に仕込んで長期的に持つ優位性ともあるでしょう。「MAXIS Jリート上場投信」(1597)という、日本の不動産投信(J-REIT)市場全体の値動きを表す代表的な株価指数である東証REIT指数との連動を目指すETFのほか、ホテル特化型J-REITである「ジャパン・ホテル・リート投資法人」(8985)、太陽光という「グリーンインフラ」のREITである「いちごグリーンインフラ投資法人」(9282)など、REITにも様々な選択肢があります。
ポートフォリオにおけるリスク分散と安定した収益の確保を目的とするならば、金、国債、低ベータ株、REITといった資産クラスを戦略的に組み入れることが重要です。これらの資産は、それぞれ異なる経済環境や市場の動向に対して独自の強みを持っており、特に市場の暴落時にポートフォリオ全体の耐久性を高める役割を果たします。長期的な投資を成功させるためには、多角的なリスク管理と、状況に応じた柔軟な対応が不可欠です。多様な投資手段を活用し、バランスの取れたポートフォリオを構築することが、安定した資産形成への第一歩となるでしょう。
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