はじめに
筆者は「個人向け国債変動10年」を利用中
筆者は、「定期預金」はもちろんですが、「個人向け国債変動10年」も利用しています。「定期預金」と「個人向け国債・変動10年」とを比べて、実際に感じる違いについてお伝えしましょう。
現段階では、利率は「個人向け国債」の方に軍配
「個人向け国債」は、毎月募集があり、募集のたびに利率が変わることがあります。
2024年8月募集の利率は、「3年固定」が0.28%、「5年固定」が0.39%、「10年変動」が0.61%でした。ちなみに、「10年変動」の金利は、下記の通りじわじわ上昇傾向にあります。
4月:0.50%
5月:0.57%
6月:0.69%
7月:0.72%
個人向け国債の利子を受け取れるのは、発行月の半年後の15日。つまり、年に2回受け取れます。
少し前の、0.490%のときに100万円購入していたのですが、半年後に2450円の利子から約20%の税金が引かれ、1953円が口座に振り込まれました。
定期預金の金利は、1年定期のもので見ると、大手銀行では0.025~0.125%ほど、ネット銀行では0.02~0.5%ほどが一般的です(2024年8月28日現在)。
純粋に利率だけで見ると、個人向け国債の方が、やや高い印象です。
満期前の解約では、金利や利子の扱いが異なる
定期預金と個人向け国債では、満期前に中途解約をした場合の金利や利子の扱いが異なります。
定期預金では、いつでも中途解約はできますが、「中途解約利率」や「期日前解約利率」が適用され、普通預金並みか、かなり低い金利になるケースが多いです。
個人向け国債では、購入後1年経過しないと中途解約ができない点に注意です。中途解約の際には、直近2回分相当の利子がペナルティとして差し引かれます。受け取った利子を返すようなイメージなので、元本が割れることはありません。(もし、受け取り済みの2回分の利子をすでに引き出して使っている場合は、利子相当分が差し引かれて現金化されるため、お金が減ってしまったような気分になるかもしれません)。
いずれも、満期前の中途解約によって、元本割れはしないという安心感はあるでしょう。
「個人向け国債」は”複利“ではない点に注意
「定期預金」の場合は、満期の際の設定で「元利継続(利息も元本に加えて、再度同じ定期預金を継続する)」を選んでおけば、満期時に、利息も運用にまわす“複利”の恩恵に自動的にあずかれます。
一方で、「個人向け国債」の場合は、利子が現金で口座に入ります。銀行口座の普通預金に入れば、普通預金の金利が適用される点に注意が必要です。
つまり、個人向け国債の満期がきたら、受け取るのは“元本だけ”になります。利子を受け取るたびに引き出して使うようなことがあれば、せっかくの満期が来ても、元本がそのまま帰ってくる形となり「増えた!」という実感はないでしょう。
個人向け国債でお金を増やしたいと思ったら、利子を受け取るたびにムダ遣いをしたり、低い金利のままにしておかないほうがよいでしょう。
例えば、利子の合計が1万円になったら個人向け国債を購入してもよいですし、それが面倒であれば、他の預貯金とあわせて投資信託の積立購入資金にするなど、運用の継続を検討するとよいでしょう。
現金化は「定期預金」の方がスムーズ
では、満期前に中途解約をして「現金化」するシーンを見ていきましょう。
定期預金の場合は、ネットバンキングが利用できれば、ネット上で基本的に中途解約を行うことができ、普通預金にお金が移動したら、その後すぐにATMで引き出すことができます。
個人向け国債の場合は、利用している金融機関によって異なります。筆者は、ネット証券と大手銀行で個人向け国債を購入しているのですが、先日、中途解約をして現金化しようと思ったら、その大手銀行ではネットバンキングで解約できず、「店舗にてお手続きください」とのことでした。
最近、銀行の店舗数が減っていてなかなか手続きに行けず、急に中途解約する可能性がある場合は、事前によく調べておく必要があると感じました。
ちなみに、筆者が利用しているネット証券では、ネット上で解約手続きができ、数日後に現金化することができました。
「定期預金」と「個人向け国債」を両方利用するのも手
ここまで、定期預金と個人向け国債、それぞれの特徴とメリット、デメリットをお伝えしてきました。
良さや注意点はそれぞれ異なりますので、リスクを避けて少しでも増やしたい場合は、「定期預金(ネット銀行や地方銀行のインターネット支店など金利がやや高めのところ)」と、「個人向け国債変動10年」を併用するのも良いと思います。
ただ、個人向け国債は、定期預金に比べるとルールが少々難しいと感じるかもしれません。まずは1万円などで購入してみて、半年後に利子を受け取るところまで経験したうえで、購入額を増やすかどうかを検討するのもよいでしょう。実際に利用してみることで、「自分の使い方に向いているかどうか」など、気づきがあると思います。
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