はじめに

所得に応じて高い税率が掛けられる「所得税」

では石破氏が指摘する「金融所得課税」を強化すべきというのはどういう意味なのでしょうか?

所得には、いくつか種類があり、「どうやってその資金を得たのか」によって税金の計算方法が異なります。金融所得はその中でも特別待遇なので結果的にお金をより多く持っている人有利になるという指摘が「金融所得課税」に対する論点です。

例えば、会社員の給与収入は、年間で得た賞与と給与の合計額から給与所得控除額を差し引いて給与所得を計算します。給与所得控除とは、会社員に必要な様々な費用を経費として認める仕組みです。経費と言っても、領収書の提出は不要で収入によって一定の額をみなし経費としています。

保険の満期金など一時所得とされる資金の受取り方もあります。その場合、受取額からそれを得るための経費、つまり受け取る保険金に対して支払った保険料を経費として差し引き、そこから50万円の特別控除を引きさらに2分の1した金額が課税対象となります。

人によっては不動産所得や雑所得といったものもあるかも知れませんが、それぞれ得た資金を収入と呼び、税金の計算上認められた金額を経費として差し引き、残ったお金が所得となります。

それらの所得は、合算されそこからさらに社会保険料控除や生命保険料控除、扶養控除や基礎控除など様々なお金を差し引き、いよいよ所得税率が掛けられる「課税所得」が導き出されます。

所得税は、所得に応じて階段式に上がっていきます。所得が149万9000円までは5%、195万円から329万円9000円までについては10%と段階的にあがり、4000万円以上の部分については45%もの税率が掛けられます。ちなみに課税される所得は1,000円未満は切り捨てて計算されます。

このように所得には複数の種類があり、それぞれ経費として差し引ける金額は異なるものの、最終的には合算されそこに所得税が掛けられるのが原則です。所得に応じて高い税率が掛けられるは、「税の応能負担の原則」に則った仕組みです。応能負担とは、能力に応じて負担することをいい、他にも健康保険料や厚生年金保険料などあり、世間一般的には納得感のある仕組みとして浸透しているのではないでしょうか?

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