はじめに

今から15年後の55歳で退職して海外で暮らしたら

まずは、海外で生活する場合の費用を考えてみましょう。滞在場所や過ごし方によっても大きく異なりますが、海外に長期滞在するには、現地での医療保険料や家賃などを含む生活費のほか、ビザ申請費用、航空券代が必要です。

Aさんが長期滞在先として希望しているカナダは、地域によってかなり差はありますが、日本より物価が約3割高いといわれています。中でも、家賃と食費は高い傾向があります。カナダで暮らす場合、1年間に400~500万円、2年間で800~1,000万円程度の費用を見込んでおく必要があるでしょう。

必要な額を踏まえて、現状通り貯金のみの資産形成で、55歳で退職し2年間をカナダで生活するシミュレーションをしました。その結果、。現状の貯金だけを続ける方法で、カナダに2年間滞在することはできることがわかりました。ただし、日本に戻ってきた後の生活を見てみると、70歳でAさんの預金は-16万円となり、老後の生活資金がなくなってしまう試算でした。

残念ながら、現在の利率では貯金だけで大きく資産を増やすことは現実的ではありません。また、インフレの影響で将来的に現金の価値が下がってしまう可能性もあります。Aさんが夢の実現に近づくためには、資産運用を取り入れる必要があります。

投資原則を守ってリスクを最小限に

Aさんは投資に対して損をしてしまいそうで怖いという考えをお持ちです。理由を尋ねたところ、「せっかく貯めたお金がなくなってしまうことがあるかもしれないと思うと、なかなか踏み出せません」、「周りの友達から40代は積立を始めるには遅いからあまりよくないと聞きました」とのことでした。

確かに、投資には元本保証はありません。大きく資産を増やすことができる可能性もあれば、Aさんが心配されているように損をしてしまう可能性もあります。ただし、リスクをコントロールしながら資産を運用することは夢の実現に近づくための重要な手段です。

さらに周りのお友達は投資はされているのでしょうか?もしかしたらそのお友達自身も40代から積立投資を始めるには遅いのでは…という疑念の中に生きているのかもしれません。今回のケースでは自分の夢に関わる大きな決断です。お友達の意見やアドバイスは参考程度に留め、投資について自分で一歩踏み出す勇気も必要ではないかと筆者は思います。

投資には「長期・積立・分散」という資産運用の王道とされている原則があります。これに従うことで、リスクを抑えながら安定した運用が期待できるといわれています。

投資は複利の効果で運用期間が長ければ長いほどお金が増えていきます。Aさんが目標としている55歳までには15年あります。長期運用で複利の効果を得るために、40代は投資を始めるタイミングとして決して遅くありません。積立投資ではあらかじめ決まった金額を決まったタイミングで投資するので、購入価格のブレを抑え、リスクを軽減する効果があります。また、1つの投資先だけでなく、異なる値動きをする投資先に分散して投資することで値動きを小さくでき、リスクを分散することができます。

NISAのつみたて投資枠で投資できる商品(投資信託)は、金融庁が定める要件を満たす長期・積立・分散投資に適したものに限定されています。投資信託は、1つの銘柄がいくつもの投資先で構成されているので、自動的に分散投資していることになり、「つみたて投資枠」を利用すれば、王道に沿った安定的な運用を目指すことができます。

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