はじめに

投資の世界には、投資家たちの長年の経験の結晶とも言える数多くの格言が存在します。今年の秋のお彼岸は9月19日から25日でしたが、お彼岸に関わる相場格言に「節分天井、彼岸底」という格言があります。これは、節分の頃に株価が高くなり、秋のお彼岸にかけて底を打つというものです。実際に日本の投資家で年度末を意識した売買や、配当取りを狙った投資行動をとる方がいるため、節分やお彼岸の時期に市場の動向が変化することがあるのです。果たして今週が底となるのか、注目している投資家もいるのではないでしょうか。また今年は「辰巳天井」と言われる年。辰と巳年に株価は天井をつけやすいとされますが、2024年は辰年なので相場格言通りに行けば来年にかけて天井、つまり上昇していくことになります。

相場格言は、信憑性のないものもあれば、過去の市場の動きや投資家の心理を反映し、現代でも十分に参考になる知恵もあります。今回は、個人的に有用だと考える10の格言を紹介します。


1.「人の行く裏に道あり花の山」

他人と反対のことをやった方がうまくいく場合が多いという相場格言です。多くの投資家が強気になり、人気が高まっているときは、往々にして相場が過熱状態に達しており、その時こそ静かに利食いするべきとされています。反対に、市場が総悲観に陥っているときは底値圏にあることが多く、そのタイミングで買いに出るのが成功の秘訣とされています。「相場師は孤独を愛す」など似たような意味を持つ格言は多くあります。

またこの格言は投資において多くの人が注目する株や投資先ではなく、その裏にある、まだ注目されていない銘柄にこそチャンスがあることも示していると思えます。個人的にはアナリストとして銘柄分析や銘柄探しを10年以上させていただいているので、この格言が励みになる部分もあります。

2.「売り買いは腹八分」「アタマとシッポはくれてやれ」

多くの投資家は、最安値で買い、最高値で売りたいと考えがちですが、これらの格言は、その欲望を抑え、完璧なタイミングを狙わずとも利益を確保すべきだと教えています。
「売り買いは腹八分」は投資においても「腹八分目」が大切だという教え。「アタマとシッポはくれてやれ」は、魚の頭と尾の部分は他人に譲り、真ん中の美味しい部分だけを確実に手に入れることが重要だということで同様の意味を表しています。

どんなに経験豊富な投資家でも、相場の大天井や大底を正確に予測することは難しいため、適切なタイミングで少し余裕を持った売買を心がけるべきです。欲張りすぎず、八分目で利食いを行うと考えておけば冷静な判断力を保つことができますし、実現利益を確保しやすくなるのでは。

3.「もうはまだなり、まだはもうなり」

この格言は、投資家の心理をついたものです。「もうこれ以上は下がらないだろう」と思ったときには、さらに下落する可能性があるという意味で、逆に「まだ上がるだろう」と思ったときには、すでに相場が反転することがあります。これは、感情的な売買を戒め、冷静な判断が重要であることを示唆しています。

4.「恐怖の時には買い、欲望の時には売れ」

この格言は、「逆張り」の重要性を強調しています。市場が恐怖に包まれている時こそ、冷静に見ると割安な株が多く存在し、そのタイミングで購入することが成功につながることがあるという教えです。リーマン・ショックやコロナショックの際に、市場が暴落している中で買いに出た投資家は、その後の回復で大きな利益を得た例が多くあります。ただ恐怖を呼ぶような値動きになる前に、普段から相場を見て、銘柄をチェックして、このくらいの水準になったら、この銘柄を仕込みたいなど準備をしておくことがポイントになります。また相場全体のポジションの偏り(買っている人が多く強気相場の時は下げ始めると大きく崩れる可能性があるなど)もチェックする必要があるでしょう。

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