はじめに
2024年9月30日、多くの銀行が変動型住宅ローンの基準金利を10月より引き上げることを発表しました。大手銀行だけではなく、ネット銀行や地方銀行などその他の銀行も相次いで発表しており、全国的な基準金利引き上げの様相となりました。
ただ、細部を見ていくと、必ずしも各行の動きはまったく同じものとはいえなさそうです。10月以降の基準金利の状況と対策について見ていきましょう。
10月以降の基準金利の動き
多くの銀行で10月以降、基準金利を引き上げることが発表されました。発表したのは大手銀行だけではありません。例えば、以下のようにネット銀行や地方銀行も一斉に引き上げを発表しました。
【10月から基準金利の引き上げを発表した銀行の例】
大手銀行:三菱UFJ銀行・みずほ銀行・りそな銀行・三井住友銀行・三井住友信託銀行
ネット銀行:Paypay銀行・イオン銀行・auじぶん銀行
地方銀行:北海道銀行・秋田銀行・山形銀行・八十二銀行・山梨中央銀行・関西みらい銀行・みなと銀行・百十四銀行・香川銀行・徳島大正銀行・伊予銀行・西日本シティ銀行・肥後銀行・大分銀行・福岡銀行・鹿児島銀行
(著者調べ)
基準金利の引き上げ幅は多くの銀行が0.15%としていました。一方、auじぶん銀行のように0.25%とする銀行もありました。
基準金利は店頭金利ともいわれますが、変動金利型住宅ローンを利用する際に、返済における利息額を計算する金利(適用金利)を決める際にベースとなるものです。通常、変動金利型住宅ローンでは、基準金利から一定の優遇幅を引き算することで適用金利を決定しています。そのため、基準金利が上がれば適用金利も上がり、ひいては毎月の返済額に占める利息額が増えることとなります。
では、10月以降はすべての銀行で変動金利型住宅ローンの金利が上がり負担が増えるのか、といえば必ずしもそうとは限らなそうです。
例えば、以下のような銀行では異なる対応をしています。
三菱UFJ銀行・福岡銀行
新規契約者に限り、基準金利は引き上げるものの、優遇幅を拡大し、適用金利は据え置き
みずほ銀行・百十四銀行・山口銀行・大分銀行
新規契約者に限り、基準金利据え置き
その他、基準金利は引き上げる一方、頭金額の割合や一定の年収要件、ZEH住宅など住宅の環境性能要件や付帯サービスの契約要件を設けた上で、金利優遇幅を拡大する銀行もあります。
ただし、すでに変動型住宅ローンを契約されている、という場合は、現状では例外的な対応は見られません。したがって、基準金利の引き上げとともに適用金利も上がりそうです(著者調べ。各行のホームページ等より)。