はじめに
3週連続で、金利・為替・株価について解説しています。
前回の記事では、「金利」と投資の関係について解説しました。今回は、「為替」について取り上げます。為替は特に海外投資や国際経済にかかわる際に重要な要素です。為替レートの変動が投資にどう影響するのか、基本的な概念から投資初心者向けに解説していきます。
為替とは?
「為替」とは、異なる国の通貨を交換することを指します。例えば、日本円と米ドルを交換することを「為替取引」と呼びます。このとき、円とドルの交換比率を「為替レート」といいます。為替レートが1ドル=150円の場合、1ドルを手に入れるためには150円が必要です。
為替レートには大きく分けて「固定相場制」と「変動相場制」があります。固定相場制は政府が為替レートを固定し、特定の水準で維持する仕組みです。例えば日本は第二次世界大戦後の物価安定、緊縮財政政策である「ドッジ・ライン」により1ドル=360円の固定相場制でした(1973年2月から変動相場制に移行)。中国人民元は長い間ドルに対して固定相場制を採用していましたが2005年7月に変動相場制に移行しました。
一方で変動相場制は市場の需要と供給によって為替レートが自由に変動する仕組みです。「フロート制」とも呼ばれます。日本円や米ドルはこの変動相場制を採用しています。
現在の変動相場制では、通貨の需給によって為替レートが常に変動します。例えば、日本の輸出が増えれば、日本企業が得たドルを円に交換するため円の需要が増え、円高になる可能性があります。円高は、日本円の価値が上昇し、1ドルあたりの円の価値が増すことを指します。例えば、為替レートが1ドル=110円から1ドル=100円になると円高です。円安は反対に日本円の価値が下がり、1ドルあたりの円の価値が減ることを指します。為替レートが1ドル=110円から1ドル=120円になると円安です。円の価値が高くなると円高、円の価値が安くなると円安と覚えるとわかりやすいのではないでしょうか。海外旅行に行く際は円高の方が海外のものを安価に手に入れることができます。
為替レートはなぜ変動するのか?
では、為替レートはなぜ変動するのでしょうか?その理由にはさまざまな要因があります。ここでは、主な要因をいくつか紹介します。