はじめに

投資家は与党の過半数割れの可能性を織り込み始めている

10月27日に衆院選の投開票を迎えます。衆院の定数は465議席です。公示前勢力は自民が247議席、公明が32議席で合わせて279議席。石破茂首相は自民・公明両党で過半数を確保し政権を維持できる233議席を勝敗ラインと明言しました。はたして、与党は233議席を守れるでしょうか。市場はこれを不安視しています。

潮目が変わったのは10月18日あたりからでした。その日、日経平均はおよそ1週間ぶりに節目の3万9000円を終値で下回って引けました。前日のNY市場ではダウ平均が300ドル以上の反発を見せ、為替も円安に動いただけに、東京市場で日経平均は反発してもおかしくはなかったのに、です。

実際、10月16日のシカゴ市場で日経平均先物は米株の反発に連れ高して前日比495円高の3万9450円で終えていたのでした。しかし、それに追随できなかったのは、衆院選での与党敗北の可能性を市場がヨミ始めたからでしょう。その日の朝刊トップで、日経新聞は序盤情勢を調査した結果として、自民党は定数465の衆院の過半数にあたる233議席に届かない可能性があると報じました。

実は、日経報道に先立ち、共同通信社が12、13両日に実施した全国電話世論調査(第1回トレンド調査)の結果も伝わっていました。それによれば石破内閣の支持率が急低下。自民が裏金事件に関係した前議員ら12人を小選挙区で非公認とした対応に関しては「不十分だと思う」が71.6%にのぼりました。この非公認問題に関しては立憲の野田さんの主張を国民は支持しており、石破さんが党内の反対勢力を押し切って、非公認を打ち出したものの、まったく国民は納得していないことが浮き彫りになったのです。

共同通信社が19、20両日に実施した第2回トレンド調査の結果も伝わっています。それによると比例代表の投票先は自民党が22.6%で、前回12、13両日の調査より3.8ポイント減。立憲民主党は1.7ポイント増の14.1%となり、差は14.0ポイントから8.5ポイントに縮まりました。小選挙区投票先は野党系候補が33.2%で、与党系候補の24.6%を上回った。前回は与党系の方が多かったので逆転された格好です。

非常に厳しい状況です。投資家は与党の過半数割れの可能性を織り込み始めているのでしょう。それがこの上値の重い相場の背景です。これまで「選挙は買い」というセオリーが通用したのは、選挙が政権の安定につながり、さらにはその政治の安定が政策の実効性を高めてきたからです。

今回の選挙結果が不透明になっていることで、その先にある我が国のいろいろな政策にまで疑問符がつくようになっています。外国人投資家は特に不安定な政権を嫌います。石破政権が引き継ぐとした資産運用立国や半導体への投資などが停滞するとみれば日本株の買い控えにつながるでしょう。

この週末の衆院選は日本株の行方にとっての大きな分水嶺になるでしょう。

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