はじめに
最近、「アクティブファンドはインフレ局面で有利」という意見をいう人が現れてきました。これは本当なのでしょうか。アクティブファンドの存在意義も含めて考えてみたいと思います。
インデックスファンド人気の背景
2024年1月から制度見直しが実施されたNISAでは、インデックスファンドの人気が高いといわれています。特にS&P500やMSCIオールカントリー・ワールドインデックスへの連動を目指すタイプのインデックスファンドに人気が集中しているようです。
なぜインデックスファンドの人気が高いのかというと、まず分かりやすさでしょう。S&P500なら米国株式市場全体に投資するようなものであり、マーケット全体をまるごと買うという商品コンセプトは、特に投資初心者にとっては分かりやすいイメージにつながります。
そして、マーケティングが奏功した面もあるかと思われます。特に三菱UFJアセットマネジメントが設定・運用しているeMAXISシリーズは、他のインデックスファンドに比べてコストが安く、それが人気につながりました。現時点において非常に大きな純資産規模を有しており、そこから来る安心感は、さらに多くの個人マネーを引き寄せる要因になっていると考えられます。
加えて、つみたてNISAの対象ファンドがインデックスファンド中心であることも、「NISAといえばインデックスファンド」というイメージにつながった背景のひとつかも知れません。
優秀なアクティブファンドもある
では、インデックスファンドとアクティブファンドのどちらが有利なのでしょうか。
インデックスファンドが、「インデックス」というマーケット全体の値動きを示す指数への連動を目指して運用される一方、アクティブファンドは基本的に指数をベンチマークとして、それを上回るリターンを目指します。たとえば日経平均株価が5%上昇したら、同期間で6%、7%というように、それを上回るリターンの実現を目指すのが、アクティブファンドです。
このようにいうと、アクティブファンドの方が有利であるようにも思えますが、現実には違っていて、長期的なリターンの比較においては、多くのアクティブファンドのリターンが、インデックスファンドのそれに劣後するといわれています。これは昔からいわれていることではあり、インデックスファンドを選ぶ人たちの拠り所にもなっています。
では、アクティブファンドはインデックスファンドに劣るのかというと、実はそれもノーです。アクティブファンドの中にも、インデックスファンドのリターンを大きく上回るものがあります。
こうした事実からすると、「アクティブファンドよりもインデックスファンドの方が有利である」と、単純には結論づけられないことに気付かれるでしょう。