はじめに
住宅ローン控除の利用が最優先
住宅ローン控除は、所得税において税額控除を受けることができます。税額控除の方が税負担の軽減効果が高いことから、最優先すべきは住宅ローン控除です。
住宅ローン控除可能額は、「年末時点の住宅ローン残高 × 0.7%」で求められます。ただし、住宅の環境性能、入居年月、子育て世帯・若者夫婦世帯に該当するかどうか(令和6年に入居する場合)で、異なる控除上限金額が設けられています。
住宅ローン控除可能額より所得税額が少ない場合、控除可能額すべてを差し引くことができません。本来払うべき所得税や住民税の金額以上に引くことはできませんので、さらにiDeCoやふるさと納税を利用したとしても、控除を受けることができません。住宅ローン控除によって、払うべき所得税額がほぼなくなる方は、他の税制優遇制度の利用は控えておいた方が無難でしょう。
ふるさと納税の利用は一番最後に検討
iDeCoとふるさと納税を併用する場合は、iDeCoを優先します。
iDeCoは掛金の全額が所得控除の対象となりますが、ふるさと納税は直接的に節税できる制度ではないからです。
iDeCoは老後の資産形成を目的として作られた私的年金制度です。税制メリットを受けながら資産形成ができるため、より効率的にお金を貯めることができます。掛金を増やせば節税効果は増えますが、制度を利用する目的は老後に向けた資産形成であり、節税のためではありません。老後資金準備の目標や、現在の家計状況に合わせて、掛金の設定額を決めましょう。
ふるさと納税は、希望する自治体へ寄付として納税することにより、自己負担となる2,000円を除いた金額が、本来支払う所得税および住民税より控除される仕組みです。控除上限額は、収入と家族構成によって変わります。支払う税金自体を減らせるわけではありませんが、寄付のお礼として地産品の食材や日用品などの返礼品が受け取れることから、生活費の節約につながる効果があります。
住宅ローン控除やiDeCoなど、受けられる控除をすべて差し引いて、まだ支払うべき所得税および住民税がある方は、ふるさと納税も利用することで、さらにお得な効果を得ることができます。
ただし、控除可能な範囲を超えて利用してしまうと、超えた分は差し引くことができず、追加の支出になってしまいます。ふるさと納税をする前にシミュレーションで利用可能額を確認することが必須です。