はじめに

2024年8月の日経平均株価大暴落。SNSでは「大きく損をしてしまった」という声もあり、投資をしている人は気が気ではない時間を過ごされていたのではないでしょうか。

では、近年利用者数を増やしている、自動で資産運用をしてくれるロボットアドバイザー(以下、ロボアド)投資はどのような運用実績だったのでしょうか? ロボアドの基礎や日経平均株価大暴落のとき、ロボアドの成績はどうだったのか、ロボアド「ROBOPRO」を例にファイナンシャル・プランナーが解説します。


押さえておきたいロボアドの種類

ロボアドとは、全自動で資産運用を行うサービスを指します。ロボアドには大きく分けて次の2つのタイプがあります。

  • 自動運用型(投資一任型):投資商品の構成や運用方針の提案を行い、運用を自動で行うタイプ
  • アドバイス型(助言型):金融商品の提案だけに留まるタイプ

ロボアドと聞くと、なんでもAIがやっているようなイメージを持たれる方もいらっしゃるかもしれませんが、顧客のリスクに合わせていくつかの資産配分コース(ポートフォリオ)を用意している一般的なロボアドの場合、実はAIは使っていません。

また、一般的なロボアドの投資一任運用サービスは、投資配分を一定に保つ特徴がある反面、機動的な資産配分が難しいケースがあります。

例えば組み入れ資産を定めた上で資産配分の組み入れ比率をかえることで、リターンは低いがリスクを押さえた「安定型」から、リスクを取りつつリターンを期待する「成長型」の5つの種類のポートフォリオ(資産配分パターン)を用意するとします。

この場合、まずリスクタイプの診断を行い、目標資産額や投資金額などを考慮した上で最適なポートフォリオの提案と設定を行う訳ですが、「安定型」「成長型」といった一定の組み入れ資産比率が決まっていることから、相場に合わせた臨機応変な対応には不向きと言えるでしょう。

2024年8月5日に日経平均の大暴落…そのときどうだったか

投資をされている方なら記憶に新しいと思いますが、2024年8月5日の日経平均はブラックマンデー越えの下落幅4,451円、下落率12%という大暴落となりました。その結果、パニック売りも多く発生していたようです。

2024年に入ってずっと堅調だった株式相場が大きく動いた8月は、東証株価指数(TOPIX)が前月末比で-2.92%と落ち込む中、ロボアドの「ROBOPRO」は+0.31%という成績を残しました。そこにはどんな要因があるのでしょうか?

ROBOPROの特徴のひとつに、AI予測があります。機関投資家もチェックしている先行指標である40種類以上のマーケットデータを参照し、その中から必要な情報を抽出してAIを使ってリターン予測を行います。それをAIスコア化し、翌月以降の資産配分に反映していくのです。

もう一つにダイナミックなリバランスが挙げられます。

ROBOPROは、主要な指数に連動するように設計された米国ETF(上場投資信託)への投資が中心。具体的な投資対象は米国株・先進国株・新興国株・米国債券・ハイイールド債券・新興国債券・不動産・金の最大8種類です。上述のとおり、AI予測に基づいて最適と思われる投資配分に月1回変更します。そのため「常に8種類すべてに投資する訳ではない」のがユニークな点です。毎月末に行われるリバランスとは別に、臨時リバランスも特徴の1つといえるでしょう。

例えば、上昇局面と予想したならば積極的な投資配分を選択し、反映します。反対に、下落局面では株式の組み入れ比率を0%にするなど、特徴的な資産配分に切り替えます。

では、日経平均の大暴落時の投資配分がどうなっていたのかというと、AI予測に基づいてドル建てでリターンが目立っていた不動産と金の比重を増やし、株式の組み入れ比率を0%にするなど、かなり特徴的な資産配分に振りきっていることが見て取れます。8月に関しても【不動産32%・金25%の合計約58%】を組み入れていました。

この資産配分が8月上旬の株式市場の下落による影響を抑制し、その後の株価回復局面でもプラスに働いたようです。

最近では新NISAの影響もあってか、株式資産に集中して投資をしている方も多く見かけますが、8月のような大暴落で慌てて資産を手放してしまっては元も子もありません。投資の基本は分散投資ですから、1つの資産に偏ることなく様々な資産に投資することを心掛けたいですね。

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