はじめに
マイナンバーカードと健康保険証一体化の注意点
一方で、マイナ保険証には注意すべき点もあります。
1. 対応していない医療機関がある
2024年4月1日より医療機関・薬局はマイナ保険証をかざすカードリーダー等のシステム導入が、原則として義務づけられています。ただ、対応していないところも一部存在します。
システム導入されていない医療機関や薬局では「資格確認書」、または有効期限内の現行の保険証で受診する必要があります。
2. 個人情報漏えいのリスク
マイナンバーカードには顔写真や個人情報が記載されているため、紛失時には情報漏えいのリスクが伴います。
万一紛失した場合は、マイナンバー総合フリーダイヤル(0120-95-0178)へ連絡し、利用を停止してください。また、警察に遺失届・盗難届後、市区町村で再発行の手続きが必要となります。そして、マイナンバーカードの暗証番号の管理にも注意が必要です。
3. 特定医療費受給者証や乳幼児医療証等は持参が必要
「高額療養費制度の申請負担の軽減」でお伝えしたとおり、マイナ保険証により、高額療養費制度を利用する際に、限度額適用認定証は不要になりました。一方で各自治体が対応している特定医療費受給者証や、市区町村が助成する乳幼児医療証等は、持参・提示が必要です。
4. マイナンバーカード自体の有効期限がある
「マイナンバーカード」は10年、マイナンバーカードに書き込まれた「電子証明書」は5年の有効期限があります。有効期限の2~3ヶ月前を目途に有効期限通知書が送付されますので、忘れずに更新手続きをしましょう。
万一、電子証明書の有効期限が過ぎた場合には、マイナ保険証をはじめ、e-Taxの電子申請やコンビニ交付等も使えなくなるため、市区町村または、指定の郵便局の窓口で更新が必要です。残念ながらオンライン申請はできません。また、更新手続きは予約制となっている市区町村もありますので気を付ける必要があります。
マイナンバーカードを保険証として利用する方法
1. マイナンバーカードの取得と利用登録
マイナンバーカードの保有率は、2024年10月末現在75%を超えています。お手元にない方はマイナンバーカードの取得から始める必要があります。
マイナンバーカードを保険証として使うには、利用登録も必要です。
取得や利用登録の申請方法はそれぞれ3パターンずつあります。
・オンライン申請(パソコン・スマートフォン)
・郵便による申請
・まちなかの証明写真機からの申請
②マイナ保険証としての利用登録
・医療機関受診時や薬局などで顔認証付きカードリーダーからの申請
・マイナポータルからの申請
・セブン銀行ATMからの申請
2. 医療機関や薬局での受付方法
受付時にマイナンバーカードを窓口に設置されたカードリーダーに置きます。「顔認証付きカードリーダー」の場合は顔認証、または4桁の暗証番号を入力することで、本人確認を行います(窓口職員の目視により本人確認も可)。
子どもなど本人が窓口で本人確認を行うことが難しい場合は、親などが代理でマイナンバーカードをカードリーダーに置き、暗証番号を入力することで、本人確認をすることができます。
3. マイナンバーカードを取得していない、利用登録していない場合
マイナンバーカード取得や利用登録していない場合は「資格確認書」を提示することで受診が可能です。
資格確認書は原則、保険証の発行元へ本人の申請によりが交付しますが、当分の間、申請なしで交付されます。資格確認書の有効期限は最長5年間ですが、加入している健康保険によって期限が変わるので注意が必要です。「資格確認証」はご自身が加入している健康保険から12月に発送される予定です。
また、最近は「資格情報のお知らせ」が届いている方も多いかもしれません。こちらは、先ほどお伝えした「資格確認書」とは別物です。「資格情報のお知らせ」はご自身の健康保険の記号や番号など資格情報が記載されています。そのお知らせには資格情報が記載されている切り取り式のカードがありますので、そのカードもマイナンバーカードと一緒にお持ちいただく必要があります。
合わせて持参する理由は、マイナ保険証がカードリーター読み取り機でうまく読み取れない場合、医療機関や薬局が健康保険の情報を確認するためです。「資格情報のお知らせについていたカード」も大切に保管してください。
マイナ保険証の押さえておくべきポイントまとめ
今回お伝えした内容をまとめると、以下のとおりです。
・「マイナンバーカード」「資格情報のお知らせについていたカード」は一緒に持っておく
・マイナンバーカードを取得してない方や利用登録してない方は「資格確認証」を持参
残念なことに、すでにマイナンバーや暗証番号を聞き出すマイナ保険証関連の詐欺も横行し始めました。暗証番号を自治体が聞き出すことはありませんので注意が必要です。
今後、警察庁はマイナンバーカードと運転免許証を一体化させた「マイナ免許証」の運用を2025年3月24日から開始する方針を固めました。ますます様々なデータがマイナンバーカードに集約されていくため、個人情報保護やセキュリティ強化が必須です。さらにデジタル対応が難しい方を置いてきぼりにしない対策もお願いしたいところです。
マイナ保険証の導入で、利便性が上がるなどメリットもたくさんありますが、利用者自身も正しい知識をアップデートしていくことが大切です。
【監修】伊達有希子/ファイナンシャルプランナー(CFP、1級FP技能士)