はじめに
一般的に、「新規設定のアクティブファンドを買ってはいけない」といわれています。それには同意しますが、新規設定時に運用資金が集まらないと、そのアクティブファンドは運用を開始できません。どうすればこのジレンマを解決できるでしょうか。
新規設定のアクティブファンドを買ってはいけない理由
なぜ、新規設定された直後のアクティブファンドを買ってはいけないのかについては、いろいろなところで書かれているので、あまり詳しく説明しませんが、簡単にいうと過去の運用成績がないからです。
アクティブファンドは、日経平均株価やTOPIXなどの株価インデックスをベンチマークにして、それを上回るリターンを実現できるようなポートフォリオを構築して運用しますが、本当にベンチマークを上回れるかどうかは、運用を始めてみないと分かりません。だからこそ過去の運用成績が、運用の良し悪しを判断する際の重要な手がかりになるのです。
一方で、「マーケットの将来は分からないから、過去の運用成績は判断基準にならない」という意見もありますが、これは明らかに間違っています。
過去の運用成績は、リターンの再現性の有無を判断するためのものではありません。大事なのは騰落率ではなく、基準価額のボラティリティです。基準価額が最高値を付けた後、下落して底を打ったところまでの値幅を把握し、自身のリスク許容度と照らし合わせたうえで、そのファンドに投資するかどうか、投資するとしたら、いくらまで資金を投入できるかを判断するために、過去の運用成績が必要になるのです。
また株式市場をはじめとするマーケットは、景気動向に応じて、数年の時間をかけて大きなサイクルを描きます。こうした全体相場に対する基準価額の連関性を把握するためには、できれば5年程度の値動きは見ておきたいところです。したがって、新規設定から5年程度が経過したものを中心に選ぶのが、アクティブファンドを購入する条件になります。