はじめに

iDeCoの受け取り方3パターン

iDeCoと退職金の受け取り方を3つのパターンに分けて説明していきます。

パターン①同じタイミングで退職金とiDeCoを受け取る場合

例えば勤続年数40年、iDeCo加入年数が30年だった場合、長い方の年数(40年)が退職金控除の年数に使われます。また、同じタイミングで受け取る場合、退職所得が合算されてしまうので、上の式にあてはめると退職所得控除額は2,200万円になります。退職金が2000万円、iDeCoが500万円だった場合、合算された退職所得は2,500万円なので控除しきれない部分は税金がかかります。

パターン②退職金を受け取ってからiDeCoを受け取る場合

退職金を受け取ってからiDeCoを受け取る場合は、「前年から19年以内に一時金で受け取った退職金」が合算の対象となります。

例えば20歳から50歳まで働いて退職金をもらったあと、60歳にiDeCoを受け取った場合、19年以内に受け取った退職金となるため、合算されてしまい、パターン1と同じように退職所得控除額が一本化されてしまいます。逆に50歳まで働いて退職金をもらった後、70歳でiDeCoを受け取った場合は、退職金をもらってから19年以上たっているため、一本化されることがなく、それぞれの加入年数・勤続年数に応じた退職所得控除を適応させることができます。

パターン③iDeCoを受け取ってから退職金を受け取る場合

会社の退職金を受け取る場合は、「前年から4年以内に一時金で受け取った退職金」が合算の対象となるため、iDeCoを受け取ってから5年以上の期間を空けた後に、退職金を受け取れば、それぞれの加入年数・勤続年数に応じた退職所得控除を適用させることができます。

例えば 60歳でiDeCoを受け取った後、65歳で退職金を受け取れば、合算対象は4年以内に受け取った一時金なので、それぞれに退職所得控除を適用させることができます。ただし、退職金の受け取りは原則60歳(再任用された場合も定年退職時に退職金が出る会社が多い)であり、ずらすことができないので、事前にご自身の会社の退職金制度を調べて、ずらせるかどうかを確認しておきましょう。

iDeCoと退職金の受け取り方を検証して、最も良い選択を

ここまで、iDeCoと退職金の受け取り方による、退職所得控除額の違いについてご紹介しました。合算される場合とそれぞれ退職所得控除を適用させる場合とでは、税金に大きく差が現れます。とはいえ、合算しても退職所得控除額を超えなければ、合算しても問題はありません。また、どのパターンを使っても退職所得控除額を超えてしまうのであれば、先に退職金を受け取り、iDeCoは一括で受け取るのではなく、年金形式で受け取り、公的年金等控除を適用させる方が良い場合もあります。ご自身がどのように受け取れば最も税金を抑えられるかを早いうちから考えておけば、いざ受け取る時に焦らずにすみそうですね。

【監修】伊達有希子/ファイナンシャルプランナー(CFP、1級FP技能士)

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