はじめに
増資が株価に与える影響
次に、増資を考えてみます。増資は、企業が資金調達をするため、あらたに株式を発行することです。自社株買いとは逆に、需要<供給となるため、発表した翌日は、株価が大きく下落することがほとんどです。
画像:GENDA「海外募集による新株式発行及び株式の海外売出しに係る 発行価格及び売出価格等の決定に関するお知らせ」
アミューズメント施設「GiGO」を運営するGENDA(9166)は、7月16日に5,180,000株の増資を発表しました。株価は、翌日2.5%下落、翌々日は6.5%下落と二日間で9%も下落しています。ところが、その後、株価は回復し、11月8日には、上場来高値を更新しました。あとから振り返ると、増資による短期的な株価の下落は、ぜっこうの買い場だったと言えます。
では、増資の発表で下落したときは、いつでも買っていいかというとそうではありません。増資による資金調達が、今後、企業の成長に寄与すると考えられる場合にのみ、投資を検討するに値します。資金繰りに行き詰まり、借入金の返済のために増資をする場合は、財務悪化を一時的に食い止めるだけなので、株価の回復は望めません。
増資を発表した際には、その理由と資金の使い道を必ず確認しましょう。GENDAの場合は、その後、公募増資に関する説明を丁寧に行ったことが安心感となり、株価反転のきっかけとなりました。
売り出しが株価に与える影響
最後に、売り出しの場合を考えます。売り出しというのは、既存の株主が、保有する株式を一般の投資家に向けて販売することです。この場合は、増資とはちがって発行株数が増えるわけではありませんが、今まで株主が抱え込んでいた株が市場に出回ることになるので、受給<供給となり、発表直後の株価はネガティブに反応します。
画像:サンリオ「株式の売出しに関するお知らせ」
11月26日に、サンリオ(8136)が、25,871,800株の売り出しを発表しました。これは自社株を除いた発行済み株式数の12.6%にあたるため、受給懸念が大きく、翌日の株価は14.4%と大きく下落。じつは、発表当日の取引時間中に上場来高値をつけていたため、ショックが大きかったと思われます。
しかし、その翌日から、すぐに株価は反転し、売り出し発表の4営業日後の12月3日には、上場来高値を奪回しました。結果、売り出し発表による下落は、絶好の買いチャンスでした。
サンリオの売り出しの理由は、政策保有株を縮滅させ、流動性を向上させるためです。それにより、海外投資家の取り込みを図ることも視野に入れており、野心的な売り出しで、つかさず投資家たちが、買い向かったのも納得です。
このように流動する株式の数が変化するニュースに株価は敏感に反応します。しかし、翌日の動きは短期的な反応で、その後は逆の動きをすることが多いため、投資チャンスになりやすいのも事実です。おそらく2025年もこうしたニュースは多いと思われます。こういった材料に、瞬時に反応できるよう、日頃からニュースにアンテナを立てておくとよいですね。
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