はじめに
売却と移管それぞれの注意点は?
では、旧NISAで非課税保有期間満了を迎える投資信託等を売却する場合と課税口座へ移管する場合、それぞれの注意点を解説していきます。
①非課税保有期間内に売却する
非課税保有期間内に売却をする場合、自分で手続きをする必要があります。自動的に売却されることはありません。また、受渡日が非課税保有期間内(非課税期間満了となる年の12月最終営業日まで)となる取引が対象です。受渡日とは、投資信託であれば、売却して資金が清算される日(現金化される日)のことです。投資信託は売却の申し込みをした日から1週間前後かかることが一般的です。年末ギリギリに売却してしまうと、非課税保有期間内での売却が間に合わないこともありますので注意が必要です。商品ごとに受渡日は決められているため売却を検討されている方は、早めに受渡日がいつになるのかを確認するようにしましょう。
②課税口座に移管する場合
課税口座へは、自動的に移管されるため手続きは不要となります。非課税保有期間が満了する12月最終営業日の時価が、課税口座での新たな取得価格となります。取得価格とは、簡単に言うと買い付け価格のことです。
以下、図と例を用いて解説していきます。
例えば、上記にあるように、旧NISA口座で購入した100万円の投資信託を、150万円で課税口座へ移管。その後、180万円で売却した場合、30万円(売却価格180万円-取得価格150万円)に対して課税されます。
次の例はどうでしょうか。投資信託100万円を旧NISAで購入し、課税口座への移管時には70万円となりました。その後、90万円で売却すれば、20万円(売却価格90万円-取得価格70万円)が利益とみなされ課税されることになります。このパターンは「当初NISAで投資した100万円より損をしているのに課税される」点に注意が必要です。
損をしないために、具体的にどうする? FPのアドバイス
NISAは売却時には取得日が古い物から売却する仕組みになっています。ということは、2020年に購入している分だけ売却することも可能です。
まず、証券口座で自分の購入した数に注目しましょう。株式であれば2020年に購入した株数、投資信託なら2020年に購入した口数です。投資信託を例に挙げれば、2020年分の購入口数を指定して売却すれば、自動的に2020年分のみ売却ができます。
では、具体的にどのように行動すればいいでしょうか?
投資信託、株式などの種別に関わらず、利益が出ているものは一度売却して新NISAでタイミングをみて再購入するのは手です。新NISAで再購入することで、非課税で運用をすることができます。
反対に損が出ているものに関しても、2025年以降も将来的な利益を非課税にしたいという意向であれば、一旦売却し、新NISAで改めて投資するという方法があげられます。この場合、損失を確定させても、特定口座のように損益通算をすることはできません。もし、どうしても損失を確定したくなければ、特定口座に移管させてゆっくりタイミングを見ての売却はいかがでしょうか。
一番もったいないのは旧NISAが知らないうちに課税口座に払い出しされてしまうことです。手遅れになる前に、今一度旧NISAと新NISAの活用方法を考えてみましょう。
【監修】伊達有希子/ファイナンシャルプランナー(CFP、1級FP技能士)
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