はじめに
今年、サッカーJ1リーグでは川崎フロンターレが念願の初優勝を飾りました。このチャンピオンチームに入る「分配金がすごい」と話題になっています。その額が多いということもさることながら、2位以下のチームとの分配比率に大きな“格差”があるのです。
この分配金の違いによって来シーズン以降、チームの間には“戦力格差”が広がるのではという心配もされていますが、なぜこのような格差時代がおとずれたのでしょうか。実は、これにはスマホとの意外な関係があったのです。
優勝チームと2位以下のマネー格差が話題に
サッカーJ1リーグでは、今年から10年間の放映権を結んだ有料動画配信サービス「DAZN」との契約によって、J1上位の4チームに「理念強化配分金」という報奨金が配分されます。そしてシーズンが終わり、この金額が話題になっています。
最終節で劇的な逆転を果たし、念願の初優勝に輝いた川崎フロンターレには優勝賞金が3億円、固定配分金が3億5,000万円に加えて、理念強化配分金が15億5,000万円も支給されるとのことで、合計22億円ものお金がクラブに入ることになりました。
ここから2位以下を順に見ていくと、最終節で勝利を飾れず涙を飲んだ2位の鹿島アントラーズには合計11億7,000万円。1位と2位でほぼ倍の差がついています。
3位のセレッソ大阪はルヴァンカップで優勝したため9億1,000万円と2位と近い額になりますが、4位の柏レイソルには5億3,000万円とかなりの開きがあります。
そして5位以下のクラブはフェアプレー賞などの賞金が入る可能性はありますが、固定配分金3億5,000万円が主だった金額になります。
つまり1位と5位では6倍以上の賞金格差が生じてしまうのが今年から導入された新しいルールなのです。
巨額マネーはJリーグをどう変えるか?
これだけの賞金格差があると、1位のチームは来年度以降も確実に首位の座を取るために巨額マネーで海外の有力選手や監督を補強するかもしれません。
もっともこの配分金は「審査のもとにクラブの成長のために使われることが義務付けられる」ということですから、地元の少年少女へのサッカー啓蒙や練習場の拡充といった使途のほうが望まれるかもしれません。
とはいえ、日本サッカーの本当の意味での成長を考えると、海外の有力選手を獲得するというお金の使い方が一番いいと私は思います。
日本にJリーグが誕生する前後のことを知っているから、そう思うのです。
Jリーグが発足する以前に、少年ジャンプの連載『キャプテン翼』を読みながら育ったのが私の世代ですが、この『キャプテン翼』のなかには今から考えると衝撃的なやりとりがあります。
主人公・翼の師匠であるロベルト本郷が「日本はまだこれまで一度もサッカーのワールドカップに出場できたことがない」と言うのです。
そう。その当時の日本サッカーは世界と比べると非常に弱かったのです。