はじめに

病院の入院日数は短期化傾向にあります。医療保険も1回の入院日数限度が365日という商品もありましたが、120日、60日と実情に合わせて短期化傾向にあります。それでは、限度日数の設定は何日がいいのでしょうか。平均在院日数や入院が長期化する傷病のデータを基に解説します。


データで見る在院日数

入院の日数が前に比べ短くなっていると感じているひとは多いのではないでしょうか。手術の方法では、腹腔鏡による手術が増えており、患者の回復にかかる時間が短くなったこともひとつの原因でしょう。

厚生労働省で3年に1度行われる令和2年の「患者調査」をみると、退院患者の平均在院日数は32.3日です。施設の種類別にみた退院患者の平均在院日数の年次推移をグラフで見てみると、昭和62年から明らかに在院日数が減っていることがわかります。

画像:厚生労働省「令和2年患者調査」より抜粋

この日数は、各年の9月1日~30日に、全国の病院や一般診療所で退院した患者の在院日数を調べた結果です。病気の種類や年齢などすべての統計ですので、入院日数が短期化傾向にあるのは事実ですが、思ったより平均在院日数は多いことがわかります。

長期入院が必要な傷病は?

では、平均在院日数を増やしているのはどのような傷病なのでしょうか。下表は令和2年9月の傷病分類別にみた年齢階級別退院患者の平均在院日数の表より、主だった傷病を抜粋し作表したものです。

どの年代でも長期入院が顕著なのは、精神疾患です。特に65歳以上の年齢では3年近く入院している計算です。

三大疾病と呼ばれるがん(悪性新生物)、心疾患、脳血管疾患の中では、脳血管疾患が長期入院の傾向にあります。特に65歳以上の入院が長期化しているのは、リハビリも含めた入院となっているからでしょう。慢性腎臓病でも65歳以上の長期入院がみられます。高齢になると通院での透析治療が難しくなるケースが多くなるからではないでしょうか。

そして、見逃せないのが骨折です。若いうちは骨折をしてもギプス固定をし、通院で治療を行うことが多いですが、高齢になると入院治療となる場合が多いようです。骨折に限らず、整形外科での入院治療はリハビリも含め1ヵ月以上の入院は特別ではありません。

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