はじめに
自動車保険の多くは、事故が起こった時に保険金の請求が発生するので、請求漏れはないだろうと思うかもしれません。しかし、請求できるのにもらわずじまいでいる特約や割引率が下がるのを気にして、請求控えをしていることはよくあります。保険の正しい理解が請求漏れを防ぐ手立てになります。
自動車保険の割引等級の仕組みは?
自動車保険の保険料を決める仕組みは、基本料率、各特約の料率に加え、契約の車ごとに決められている料率、使用目的、年齢区分、免許の色、各種割引などさまざまな料率や割引の組合せで決められています。そこに、等級別割引・割増等級制度という仕組みが加わります。多くの損害保険会社では1~20の等級で割引割増を決めています。各種共済の自動車保険では割引・割増率が若干違いますが、大手損保社では概ね下表の様な割引率になっています。
画像:筆者作成
自動車保険を新規で申込む時は、1等級から始まるのではなく、6等級から始まります。この表では6等級は13%割引ですが、新規に加入する時は6Sという特別の等級を使い、3%割増から始まります。1年間事故で保険を使わないと1つ等級が上がりますから、7等級の27%割引になります。このように事故で保険を使うことがないと、割引率が増えていく仕組みです。
ところが、例えば15等級まで等級が進み、割引が53%まで増えたところで、事故があり、保険金の請求をした場合、次の年度には等級が3等級ダウンし12等級に下がります。
上表の上段、無事故12等級50%に下がるだけなら3%しか下がりませんが、事故により等級が下がった時は下段の「事故有」の割引を適用することになります。同じ12等級でも、「無事故」の割引率は50%、「事故有」の割引率は22%になってしまいます。
さらにその年も含めて3年間は事故有の割引率が適用されるので、3年間は高い保険料を支払うことになります。事故は3等級ダウン、しかも事故有の割引率になることを認識しているひとは、少しの損害だったら保険を使わず自腹で解決しようと考える気持ちもわかります。しかし、せっかく保険料を支払っているのですから、できれば保険金請求したいところですね。