はじめに

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は深野康彦氏がお答えします。

両親共に収入がなく、これまで一家の大黒柱的な存在としてがんばってきたのですが、両親の老後や自分の老後について心配になってきました。安易ではありますが、わずかながらの貯蓄を投資に回し、少しでもプラスにできないかと考えています。貯蓄は500万円ほどです。どこに投資したらよいか、から考えているような初心者ですが、アドバイスいただけると幸いです。
(40代前半 既婚・子供なし 男性)


深野: ご両親の老後のことを考えながら、ご自身の老後についても考えなければならないご苦労、心中をお察しいたします。

40代にさしかかると、両親のさまざまなことが自分自身の生活やライフプランに影響を及ぼすことが増えてくるようです。なるべく1人で抱え込まず、また体調を崩さないように健康には充分に注意されてください。

投資に“絶対”はない

ご質問では、今ある貯蓄を投資に回して少しでもプラス(この場合は、より高い収益を確保する意味かと思われます)にしたいと考えられているようですが、ご自身の老後に備えるのであれば、投資を始められるのもやぶさかではありません。

公的年金を受け取れる年齢以降を老後と考えれば、ご質問者の方の場合はまだ20年以上の運用期間を確保できるからです。

ご両親の老後についても、できる限り援助してあげると考えていらっしゃるのであれば、ご両親はすでに老後に入り、場合によってはすぐ援助ということもありえるでしょう。

その場合、投資は控えるべきでしょう。

なぜなら、投資には絶対ということはなく、少しであっても「必ず増やせる」という保証はないからです。手持ちの貯蓄については、使い道と共に使う時期を明確し、どう運用するとよいかを判断されてください。

焦りは禁物、余裕資金から

ご自身の老後のための投資と判断された場合でも、可能であれば保有している貯蓄から投資に回すのではなく、毎月のキャッシュフローから投資資金を捻出し、時間分散を活用した投資信託などの積立投資をされる方がよいと思われます。

投資初心者との記載があることから、まとまった資金で投資するよりも、少額から投資を行う慎重さが求められるからです。

わかりやすいものから始めるという意味で、投資信託の積立投資では日本株のインデックスファンドがよいでしょう。例えば、ROE(自己資本利益率)を基準に銘柄選択が行われている「JPX日経400インデックス」に連動する商品はいかがでしょう。

毎月のキャッシュフローのうち、余裕の範囲内の金額から始められてください。

積立投資を行うと同時に投資の勉強も始めましょう。投資全般の基礎知識が学べる本を読み、興味を持った投資商品をさらに深く勉強してみてください。そして、貯蓄のなかから余裕資金を投資に回して実践されるというステップを踏まれるとよいと思われます。

ご両親の老後の援助をしても余裕があるのであれば、毎月のキャッシュフローからの積立投資を考えられてもよいはずです。株価が上昇しており「少しでも」と考えたくなる気持ちは理解いたしますが、まずは慎重さを忘れないでください。

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