はじめに

金利の変化による恩恵を最大限受けるために

ここまで金利が上がった時にやるべきことについて解説しましたが、自分で金利の動きを予想できると、先手を打って対策ができます。金利を予想することはプロでも難しいですが、今までの日本の金利の流れについて知ることで、次にどう動くのかのヒントになるかもしれません。そこで今までどのように金利が変化していったのかについてお伝えしたいと思います。

日本の金利について

日本はバブル崩壊以降、景気回復の兆しが見えず、デフレ圧力が強まりました。そのため1999年に日銀は初めてゼロ金利政策を導入し、実質的に金利を0%にしました。2000年にはゼロ金利は解除されましたが、景気が悪化し、2001年には再びゼロ金利に戻りました。それ以降も日銀は量的緩和政策を続けていましたが、決定的な出来事が起こります。

リーマンショックです。2008年のリーマンショックにより世界経済が大混乱に陥り、日銀は再びゼロ金利政策を導入しました。そして安倍政権の経済政策「アベノミクス」が始動し、日銀の黒田東彦総裁が「異次元の金融緩和」を掲げました。これにより日本は2016年にマイナス金利政策を導入し、金融機関が日銀に預ける一部の預金に対してマイナス金利(-0.1%)を適用しました。このように日本は長い間ゼロ金利、マイナス金利と金利を下げることを続けていました。

ところが、2024年の3月に約17年ぶりの利上げを実施し、7月には政策金利を0.25%上げました。これまで日銀は、2%の物価上昇を目指してきました。毎年2%の物価上昇が続けば、景気も良くなり、給料も上がり、経済状況が安定することが見込めると考えていたからです。2022年4月以降、消費者物価指数(生鮮食品を除く総合指数)は、2%を継続的に超えており、物価上昇に加え、賃金引上げの動きも出てきています。そのことを受けて、日銀は、マイナス金利を解除しました。

2024年3月のマイナス金利解除によって、日本の政策金利はマイナス0.1%から0.1%に引上げられ、7月末には、政策金利を0.1%から0.25%に引上げることを発表しました。そして2025年も金利を引き上げるであろうといわれています。

金利を上げるもう一つの要因に、過度な円安への対処があげられます。国や欧州の利上げが進む中、日本だけが低金利を維持すると、日米金利差が拡大し、円安が進みやすくなります。急激な円安は輸入物価を押し上げ、家計への負担を増大させる可能性があります。日銀は金利を引き上げることで円安の進行を抑制し、為替市場の安定を図ろうとしているのです。

メリット・デメリットを理解して行動することが大切

ニュースで金利上昇といわれても、具体的に自分の生活にどのように影響が出るかがわからないとピンとこないと思います。しかし、金利の上下は皆様の生活に密接に関わっています。

金利が上がるとメリットもあればデメリットもあります。デメリットは早めに対応しつつ、金利の恩恵を最大限に受けるために、ご自身の資産運用・生活費・ライフプランを見直してみてはいかがでしょうか。

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