はじめに

「iDeCo改悪」への対策はある?

では対象となる方が今から取れる対策はあるのでしょうか?

まず退職金、iDeCoそれぞれの受け取額と勤続年数あるいは加入年数を正しく把握しましょう。退職金は受け取り時期を選べませんので、iDeCoを何歳で、どのように受け取るのが良いかシミュレーションしてみます。iDeCoへの加入期間の延長が可能であればそれも併せて検討します。場合によっては、加入を継続することで退職所得控除額を増やすこともできます。

「iDeCo改悪」にショックを受けている方の多くは、退職金そのものが多かったり、iDeCoではなく企業型DCの金額が多かったりという理由で税金が多くなっている方もいらっしゃるでしょう。その場合、いくらシミュレーションをしてみても税金を0にすることはできないかも知れません。それでも受け取り方を変えると税額が異なるので、選択できることで納得感は増すかと思います。

一時金であれば、退職金で退職所得控除を使いきったとしても、1年遅れでiDeCoを受け取ると最低額として設定されている80万円の退職所得控除を利用することができます。その上で超過した金額を2分の1して分離課税です。

分割で受け取る場合は、公的年金の受け取り時期も考慮しましょう。公的年金等控除は公的年金と合算して使うため、公的年金の繰下受給を検討した方がよい場合があります。退職後は、年金収入も社会保険料の算定対象となることは覚えておきましょう。

一時金と分割の併用も検討する価値があります。分割受け取りは給与などと合算して課税される総合課税なので働いている間は税率が高くなってしまう可能性があります。一時金と分割でバランスを取りながら支払う税金を調整することも重要です。

最後にご自身の生活設計に合うかどうかをチェックしてみてください。税を抑えるiDeCoの受け取りパターンが生活のニーズとマッチしていなければ意味がないからです。

これからiDeCo加入を検討する方へのアドバイス

これからiDeCoを検討する方向けの税金に関するアドバイスです。iDeCoの受け取り時に課税される可能性は、今後掛金上限額の引き上げと共にますます高まっていきます。

だからこそ、少ない掛金でも良いのでiDeCoを早くはじめて加入期間をできるだけ長く設け、受け取り時の退職所得控除を確保することがポイントです。なかなか1人では大変かも知れませんが、選択肢が多いのがiDeCoのメリットです。できれば良いアドバイザーを見つけ、適時アドバイスを受けながら資産形成をしていただくのが良いのではないかと考えます。

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