はじめに
温暖化による気温上昇で大雨の頻度が増加し、被害が頻発しています。雪に関しては、全体の降雪量は減少傾向にあるものの、ドカ雪が降り、多くの車が動けなくなるような災害が起きています。突然の雪に備えるためどんな準備が必要でしょうか。
なぜドカ雪が降る?
日本の気候変動について、気候を構成する気温や降水、海面水位や水温などの観測事実と将来予測をまとめた報告書「日本の気候変動2020」が気象庁と文部科学省から公表されています。
気候変動問題に関する国際的な枠組みである「パリ協定」では、世界共通の長期目標が、平均気温の上昇を産業革命以前と比べ2度以内にすると掲げられています。先の報告書によると、「パリ協定」の目標である平均気温上昇を2度に抑えたシナリオでは、降雪量は約30%減少すると予測されています。ですが、この目標が達成されず、平均気温上昇4度になるシナリオの場合、降雪量は約70%減少すると予測されています。当然、雪の降り始めは遅くなり、雪がなくなる時期は早まるとの予測です。
全体的な雪の量は減るものの、気温の上昇により、空気に含まれる水蒸気の量が増えるので、豪雨が増えたのと同じように、気温が下がると雨から雪に変わり、重たい雪が一気に降る傾向が多くなっているようです。本州山岳部や北海道内陸部では「10年に1度の大雪」が増える可能性もあると報告されています。
毎年冬期間は積雪がある雪国でも、数十年前に比べると、雪の質が変わり、重たい雪になっている感覚があります。雪のあまり降らない地域でも湿った雪が降り交通マヒになってしまうニュースをたびたび見かけます。このような降雪に巻き込まれないため、特に自動車の運転で心がけること、そして大雪への備えはどのようなことがあるでしょうか。
自動車の運転で心がけること
突然の大雪に備えるためには、以下のような心がけが必要です。
1.天気予報のチェック
自動車で出かける際は、定期的に天気予報をチェックしましょう。スマホのアプリを使えばピンポイントで予報を知ることができます。大雪の可能性がある時は計画の見直しを考えましょう。
2.車の基本装備をチェック
雪道走行が予想される場合は、スタッドレスタイヤの装着、チェーンの準備はしましょう。雪にはまって抜け出せなくなった時のために、スノーヘルパー・スタックヘルパー(タイヤの下に敷いて脱出を助ける滑り止めマット)を常備しておくと安心です。他の車に引っ張ってもらうための牽引ロープも基本装備のひとつです。
3.一酸化炭素中毒を防ぐ備え
立ち往生で何時間も動けなくなった時のためにスコップを積んでおきましょう。空気の流れをスムーズにするために、窓を開け喚起をしながら、スコップでマフラーの周辺の除雪を定期的にしましょう。ドア周辺の除雪も重要です。
4.防寒具などの準備
長時間車内で滞在しなければならないことを想定し、暖かい衣類、防水性のある靴、手袋、帽子を準備しましょう。一夜を過ごすこともあるかもしれません。毛布や使い捨てカイロ、携帯用トイレなども必需品です。飲料水、チョコレートや羊羹など急場をしのぐために持っておくといいでしょう。雪に限らず、大雨や地震などの備えにもなるので、防災袋を車に積んでおくと便利です。
5.エコノミー症候群に注意
立ち往生で救助を待っているような場合、長時間、同じ態勢で座っていると下半身の血流が滞り静脈の中に血栓(血の塊)ができます。そのあと歩きだしたとき、その血栓が血流に乗って肺まで到達し動脈を塞ぎ、胸の痛みや呼吸困難、失神などを引き起こしてしまう場合があります。エコノミー症候群といい、最悪の場合は命に関わる場合もあります。車内に座っている時、足の指をグーパーする、かかとやひざを上下運動する、座ったまま足踏みをするなどの運動をすると予防になります。また水分の補給も大切なので、1時間に100ml程度の水は飲んで予防しましょう。
6.連絡先の確認
立ち往生に限らず、大雪の吹き溜まりなどで車が動かなくなった場合、JAFや自動車保険のロードサービス、担当代理店などの連絡先を携帯電話に必ず入れておきましょう。動けなくなったことで、交通の妨げになり、次の事故が起きてしまうこともあります。ハザードランプを点灯し、停止表示板を置くなどの対応をし、車が目立つようにしましょう。携帯電話の電源がなくなると、連絡手段が途絶えてしまいます。モバイルバッテリーは必需品です。
7.雪道走行のコツ
路面が滑りやすいため、慎重に運転しましょう。止まるまでの距離が長くなりますから、通常より車間距離を多く取って運転する必要があります。急発進、急ハンドル、急ブレーキはスリップの原因です。特に右折左折などの時は曲がる手前で充分減速し、曲がる時にブレーキを踏むのはやめましょう。