はじめに

2015年に実施された5年に1度の国勢調査の最新結果からは、50歳時点で実に男性の4人に1人、女性の7人に1人が生涯一度も結婚経験がない未婚者であることが判明しました。これは将来の話などではなく、すでに2年前の日本のリアルな姿です。

一方で、人口問題を研究している国の研究機関である社会保障・人口問題研究所の2015年調査の結果では、若い(18~34歳)未婚男女のともに約9割が「いずれは結婚したい」と回答しているのです。この若い未婚男女の結婚希望は長期にわたって約9割で推移しています。

大雑把な計算ですが、全男性のうち50歳時点で結婚した経験のない25%から、そもそも結婚を希望していない10%を除くと、15%の男性が「結婚を希望していながら、実現できていない人」となります。50歳時点で結婚した経験のない男性のうち、半分以上を占めていることになります。

同じ方法で計算すると、女性の場合、50歳時点で結婚希望がかなっていない方が未婚者の3人に1人程度いる、ということになります。

そこで、この連載では、読者の皆さんが将来結婚に関して「こんなはずじゃなかった」とつぶやかないよう、可能な限り正確なデータを提供したいと思います。この連載が、皆さんの結婚希望がかないやすい知識と思考のベース作りのお役に立てればと思っています。


若い女性の「年の差婚」への希望

第1弾となる今回は、「年の差」についてデータを基に考えてみます。

年配男性ととても若い女性のカップリングをイメージさせるようなニュースに触発されて、「(収入ある)男性が年上の、年の差婚時代再来か」などと思っている方が、特に男性には少なくないようです。

実際、複数の結婚相談所から聞こえてくるのは、都市・地方を問わず、男性が若い女性を希望する、という声です。40代以上の男性がひたすら35歳以下の女性にアプローチをかけるという状況も珍しくはありません。

しかし、これらは年の差に関する「印象論」に基づく思考や行動です。そこで、元になっている「印象」の真偽を検証するためのデータを見ていきましょう。はたして、若い未婚女性は「年上の男性を希望する傾向」にあるのでしょうか。

上図を見ると、なんと同年齢から2歳上まで希望に58.0%の未婚女性が入っています。そして、4歳上まで希望で78.6%。つまり約8割の女性が入っているのです。

34歳までの女性が集まる結婚イベントに男性が出かけたとします。そこに10人の女性がいたとします。データに基づいた思考をするならば、この10人の女性のうち6人は2歳上までの男性しか希望していません。4歳上まででもいいかな、と思っている女性はわずか2人、ということです。

つまり、最も年齢が上の34歳の女性ばかりがそこにいたとしても、39歳以上の男性をOKと考えている女性はわずか2人、ということになるのです。データからは、若い未婚女性は約8割が4歳上までの男性を希望しているため、ほぼ同世代の男性だけが受け入れられるだろう、ということになります。

年の差婚マーケットの現実

「いくら彼女たちが年齢の近い相手を希望していたって、人生万事塞翁が馬。どうなるか、わかったものではないよ」という考えは当然あると思います。ドラマや映画では、素敵な課長に憧れる新人女性が出てくることもありますね。実際のデータではどうでしょうか。

1970年には約80%を占めていた「男性が年上の結婚」が、2015年には55%にまで急落しています。その一方で、なんと姉さん妻が24%、4組に1組にまで増加してきています。「(収入ある)男性が年上の、年の差婚時代再来か」という印象論は、トレンドとはまったく合致していないことがデータからわかります。

むしろ、現実には「女性が年齢的にはリードする結婚」が増えているのです。図表からは、同じ年齢の結婚が20%程度あることも見て取れます。

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