はじめに

厚生労働省「令和5年簡易生命表」によると、2023(令和5)年の平均寿命は男性が81.09歳、女性が87.14歳。女性の方が、平均的に約6年間長生きをします。しかし、これはあくまでも平均です。

夫婦の場合、どちらかが先に亡くなります。必ずしも夫が先に亡くなるとは限りません。どちらが先に亡くなるのかは、誰にもわかりません。夫が先に亡くなり妻が残った場合、妻はイキイキと老後生活を送る姿を目にすることはあります。筆者の知り合いでも、夫が亡くなったあと半年くらいは元気がありませんでしたが、その後は、友達も増えて、楽しい老後生活を送られている方もいます。

一方、夫の場合には、妻に先立たれたあと、自宅に引き籠もりがちになり、元気がなくなることがままあります。アメリカのロチェスター工科大学の研究では、妻を亡くした男性の余命は、同年齢の平均余命に比べて30%短くなるそうです。そして、夫を亡くした女性の平均余命には変化がないといいます。アメリカでの研究ですが、なんとなくうなずける結果ですね。

今回は、老後生活を豊かに楽しく過ごすために、定年後の男性に、まずはやっていただきたいことを書いてみましょう。


妻に先立たれた夫は、日常生活にたちまち困る?

老後生活では、夫婦2人暮らしという家庭が多いと思います。そして、妻が料理や掃除などの家事を担当していることも多いでしょう。内閣府「令和2年度 第9回高齢者の生活と意識に関する国際比較調査結果」によると、「家族の生活に果たす役割」で「家事を担っている」と回答した男性が26.6%に対し、女性が75.6%と大きな開きがあります。

もし、妻が入院したら、どうなるでしょうか? または、妻が亡くなったら、どうしますか? 想像してみてください。

男性(夫)は、まず、食事の準備をするにはどうすればいいのか、うろたえてしまうのではないでしょうか? 日常生活の基本的な食事の用意、洗濯、掃除、片づけなどの家事をすべて自分で行う必要があります。

「お米の研ぎ方」「味噌汁の作り方」「料理の仕方」「洗濯機の使い方」「洗剤の場所」「洗剤の量」「洗濯物のたたみ方」「着るものを入れる場所」

たちまち、パニックになりそうです。結局、インスタント食品に頼ることになり、栄養のバランスも悪くなります。洗濯も面倒なので、同じ下着を何日も着たり、一日中パジャマで過ごしたりすることになり、外出も億劫になってしまいます。

一方、妻はどうかというと、料理や洗濯・掃除などは、日常的に行っていると考えると、夫がいなくなったとしても、変わりません。日常生活が大きく崩れてしまうことが少ないのです。

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