はじめに
ボラティリティが高いとどうなるか
まずボラティリティは一定期間内の価格変動の度合いを示す指標です。例えば、日経平均株価が1週間で5%動く場合と、1週間で0.5%しか動かない場合では、前者の方がボラティリティが高いといえます。
VIX指数(恐怖指数)が市場のボラティリティを示す代表的な指標として知られています。VIX指数が高いと、市場参加者の不安が高まり、相場が荒れる傾向にあります。日本では日経VIというボラティリティを示すインデックスがあります。個別株などのボラティリティの計測にはテクニカル指標のATR(Average True Range)も活用できます。これらの指標を使って市場の変動リスクを測定できます。
ボラティリティが高いと、市場の特徴としてまず価格の振れ幅が大きくなることが挙げられます。1日で大きく上昇することもあれば、大きく下落することもある、ということです。ポジティブに捉えればうまく売買できれば短期間で大きな利益を得るチャンスが増えることにもなりますが、短期トレンドが変わりやすくなりがちで売買タイミングの見極めがより必要となり投資判断の難易度が上がるとも考えられます。加えて、急騰急落があると精神的に不安になり、売買判断を取りにくくなることも考えられます。つまり心理的な負担が増えるわけです。
ボラティリティが高い時の心得
そのためボラティリティの高い市場では、冷静な判断を保つことや、あらかじめルールを決めたり適切なリスク管理を行うことが重要です。具体的には経験が浅いうちは無理な売買をしすぎないことが重要です。短期売買というルールで売買するのは良いと思いますが、長期で保有しようと決めたはずなのに、短期的な急騰急落に振り回されるのは避けましょう。
また事前に利食い(利益確定売り)やロスカット(損切り)のルールを明確に決めておくことも重要です。
長期投資であれば1つの銘柄に集中投資すると大きな損失を被るリスクがあります。複数の銘柄や異なる資産クラスに分散投資することで、リスクを抑えることができます。
リスクをチャンスに変える行動
ここで改めてお伝えしたいのは、値動きが激しい相場はチャンスでもあるということです。
ボラティリティが高いと、1日の値幅が大きくなり、短期的な売買チャンスが増えます。そのため日経平均先物やFXなどしっかり学んだ上で小額から練習をするには、経験値や利益を得やすい良い市場環境とも言えると思います。
また長期投資では大きな下落時は押し目買いのチャンスでもあります。2024年の急落のように、一時的な急落の際は結果的に絶好の買い場となりましたが、急落の真っ最中はどこまで落ちるかわからないと不安になって慌てて損切りをしてしまったり、怖くなって買う事は意外とできないものです。急落に備えて事前に「下がったら買いたい銘柄リスト」などを用意しておくこと、また押し目を買うためにも「投資資金をすべて株に投入しない」ことが重要です。市場が大きく下落した際に買い増しを行うためにも、すべての資金を投資していると下落時に強いストレスを感じやすいのでメンタル保全のためにも十分なキャッシュポジション(現金比率)を確保しておく必要があります。
市場環境や投資スタイルによりますが、個人的にはポートフォリオの2割〜3割程度はキャッシュで持っています。またボラティリティが高まっていると感じたら一時的にキャッシュ比率を高めるのも有効な戦略だといえそうです。
冷静なマインドを維持し、感情に流されない投資判断をするためにも、ボラティリティが高くても、それを利益に変えられるような投資戦略を立てておきましょう。
この記事が少しでも皆様の投資の参考になれば幸いです。
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