はじめに

「資産形成」の必要性を感じる方が増えていますね。NISAやiDeCoなどの制度を活用する人も増えた一方で投資を含めた資産形成の難しさを感じたり、資産を増やすために始めたはずが減らしてしまったと悔やんでいる方の声も届きます。

では資産形成のための投資を成功させるためには何が必要なのでしょうか?答えは投資の基本原則である「長期・積立・分散」 の三本柱です。この考え方を正しく理解して実践することが安定的に資産を増やすことにつながると言われています。さらに今回はプラスアルファで「低コスト」の考え方も取り入れて、より堅実に資産を構築する方法を考えていきたいと思います。


定期預金ではインフレに追いつけない?

まずなぜ「資産形成」が必要なのか、ということですが、日本では貯金をすることで資産を形成していくという考え方が海外に比べて多いです。

これは日本で長らく物価の変動が小さい、いわゆる「失われた30年」のデフレ時代が続いていて、日本人の勤勉な性格も手伝ってか安い価格でも品質の良いものが買えるお店が増えたり、節約すれば豊かな生活がそれなりに送れるといった成功体験を持っている方が多いからではと思います。

また、1990年代初頭の日本のバブル崩壊で投資で痛い思いをした人が多かったからこそ、投資は怖いものだと感じている方も多いようですね。

しかし最近物価が上昇するインフレの影響が強まっていて、日本はインフレ時代に突入したといえます。インフレはお金の価値が相対的に下がることを意味します。

日銀の利上げにより足元で銀行の利息は上がってはいてメガバンクの1年もの定期預金の金利が0.125%になったことがニュースになってはいますが、日銀のインフレターゲットは2%。つまり銀行にお金を預けている利息だけではインフレに追いつけず、資産の実質的な価値は目減りし続けていくわけです。

加えて老後にもらえる年金も不安ななかで平均寿命は伸びており、本来喜ばしい長生きが預金を切り崩していくと不安がつきまとうものになる可能性もあります。そのためにお金に働いてもらう「資産運用」 が重要になるわけです。政府も 「貯蓄から投資へ」 を推奨しているので、むしろ資産形成はやれる人がやる時代からやらないと困るかもしれない時代になってきていると考えた方が良さそうです。

ただ闇雲に投資をするのはご存知の通りリスクが高いといえます。投資で安定的に資産を構築するためには一攫千金を狙うのではなく、 リスクを抑えながら、確実に資産を増やしていく ことが大切です。資産形成にはさまざまな方法がありますが、再現性が高いといわれる方法なのが 「長期・積立・分散」 という三つの原則です。これは“資産形成の王道”とも言われます。一つずつ解説します。

(1) 長期投資:時間を味方につける

投資の最大の味方は「時間」といわれます。時間をかけて長期で投資する最大のメリットは、「複利」の力を活かせることにあります。

複利とは、投資で得た利益を再投資し、それが次の利益を生み出すことで、雪だるま式に資産が増える仕組みです。例えば、100万円を年利5%で運用した場合に1年後に105万円となりますが、10年後は単利だと150万円、複利だと約162万円になります。20年後は単利だと200万円なのが複利だと約265万円、さらに、30年後には単利だと250万円なのが複利だと約432万円になります。

時間が経つほど元本に対する増加率が大きくなることがわかりますね。これが複利の力であり、早く始めるほど有利になるのが長期投資の最大のメリットです。

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