はじめに

会社員は、毎年12月に年末調整が行われ、所得税の計算や控除の適用が自動的に処理されています。そのため確定申告は必要ないと思っている方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、年末調整だけでは適用できない特定の条件や控除に該当した際には、会社員でも確定申告の義務が発生する、あるいは確定申告することで税金が戻ってくることがあります。今回は、会社員でも確定申告すべき主なケースについてFPが解説していきます。


年末調整ってなに?

給与をもらっているほとんどの人が、毎年当たり前のように年末調整の手続きを会社経由でしています。しかし、その趣旨についてきちんと理解できている方は少ないかもしれません。

所得税は、本来は前年(2024年)の収入を翌年(2025年)の確定申告で納付することと定められています。しかし、すべての納税者が税務署に殺到すると、混乱が予想される上に、納税者の納税事務の負担も大きくなります。そのため会社が所得税額を計算し、源泉徴収した所得税を従業員に代わって国に納付することになっています。これを「源泉徴収制度」といいます。

しかし、あらかじめ毎月の給与や賞与から引かれている源泉徴収額は概算であり、正確な納税額ではありません。そのため、1年の終わりである12月に、年末調整で正確な所得税の精算をします。

年末調整が完了すれば、確定申告は必要ないと思われる方も多いかもしれませんが、追加で納税すべきケースがあります。または、確定申告をすることで税金が戻ってくることもあります。

会社員でも確定申告しなければならない場合とは?

まずは、会社員でも確定申告しなければならない主なケースを解説します。

①給与の年間収入が2,000万円超
会社からの給与収入が年間2,000万円を超える場合、年末調整の対象外となり、確定申告が必要になります。ここでいう2,000万円とは、給与所得控除や社会保険料控除後の所得ではなく、勤務先から支給される額面が2,000万円を超えるかどうかです。

②副業所得が20万円以上
会社員でも副業での所得(売上から経費を差し引いた金額)が年間20万円を超えると、確定申告が必要になります。副業には、ブログやYouTube、アフィリエイト等を活用した広告収益、アルバイト、フリーランスの仕事などが含まれます。

③2か所以上から給与をもらっている
本業と副業の両方で会社から給与を受けている場合、確定申告が必要になることがあります。年末調整できるのは1社のみなので、2社目以降の給与について確定申告が必要になります。

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