はじめに
2025年になってから大流行しているインフルエンザ。通常の風邪と違って長引きやすく、仕事や学校を休まざるを得ないこともあります。診察代や薬代などの医療費に加え、仕事を休むことで収入が減ることも大きな負担です。こうしたときに活用できる社会保障制度を知っておくことで、経済的な不安を軽減できます。
本記事では、インフルエンザにかかった際に利用できる社会保障制度についてFPが解説します。
インフルエンザで仕事を休んだ時に使える傷病手当金について
傷病手当金は、会社員や公務員が病気やけがで仕事を長期間休んだ場合に支給される制度です。健康保険に加入している人が対象となり、給与の約3分の2を最長1年6か月間もらうことができます。
傷病手当金と聞くと、重たい病気で何日間も仕事を休まないと使えないと思われている方が多いかもしれません。しかし、状況によってはインフルエンザでも使える制度なのです。いくつか支給にあたって条件があるので、次の項目から解説していきます。
傷病手当金を受け取るための条件について
傷病手当金を受け取るためには、以下の3つの条件があります。
①業務外の病気やケガでの休業である
支払い対象となる病気やケガは、業務以外に起きたものである必要があります。業務上や通勤による病気やケガの療養の場合は、労災保険の対象となるため傷病手当金の対象にはなりません。
②連続する3日間を含めて、4日以上仕事を休んでいる
連続して欠勤した最初の3日間を「待期期間」といい、この期間は支給対象となりません。待期期間は、有給休暇や土日・祝日も含みます。また病気やケガで会社を早退した場合も「待期期間」としてカウントされます。
③休業期間中に給与を得ていない
有給休暇を利用してしまうと、給与が発生してしまうため、傷病手当金が受けられなくなります。また企業の休暇制度などで給与が発生する場合は、傷病手当金から給与支給分を減額して支給されます。また休業中にアルバイトや副業をした場合も減額される可能性があります。
傷病手当金の支給額の計算方法
傷病手当金の日額の計算方法は、【直近12ヶ月の標準報酬月額を平均した金額÷30日×2/3】となります。例えば標準報酬月額の平均額が30万円の人であれば、30万÷30日×2/3となり、日額は約6,667円となります。
もし一週間会社を休むことになった場合、待期日が3日間あるので、残り4日分×6,667円=26,668円が支給されることになります。
なお、待期期間中に傷病手当金は出ませんが、有給休暇を利用することはできます。