はじめに

営業利益率の低下要因

ゴールドウインの営業利益率が、1年で5%以上低下する要因としては、以下の4つが考えられます。

1.販管費の増加
これは、当社に限りませんが、人件費や物流費の高騰による費用の増加に加えて、本社移転に伴う費用増もあります。

2.インバウンド需要の変調
2024年までは中国人観光客の急増が売上を押し上げていましたが、2025年に入りその勢いが鈍化しています。

3.円安の影響
円安による原材料コストの上昇が利益率を圧迫。価格改定を行っていますが、消費者の購買意欲に影響を与えている可能性がありそうです。

4.売上構成の変化
利益率が高いダウンジャケットなどの防寒衣装の販売が、暖冬の影響で不振となり、同じく利益率の高いアウトドア商品が、キャンプ用品市場の縮小によって以前ほど売上が伸びていません。それにより、利益率の低い商品の売上比率が高まり、全体の利益率が低下しました。

今後、利益の回復を期待できるか?

このような理由で営業利益が圧迫されていますが、売上が伸び続けているので、企業の成長が止まったわけではありません。今後、利益の回復が見込めるなら、株価が低迷しているときに仕込む戦略も十分考えられます。かつてPERは30倍近くあったところ、現在は15倍にまで低下しており、割安感もあります。となると、前のめりでポチっとしてしまいそうですが、やはり、下降トレンドが続いている間は、様子を見たほうが賢明です。

当社が発表している「Goldwin500」プロジェクトでは、自社ブランド「ゴールドウイン」の売上を2029年に200億円、2033年には500億円の目標を掲げています。2024年3月期における「ゴールドウイン」ブランドの売上は32億円で、売上全体からみた比率は2.5%です。「ザ・ノース・フェイス」の売上高975億円と比べるとまだまだ小規模なので、今後5年で200億円まで成長するかどうか、お手前拝見となります。

ゴールドウインを投資対象としてどう見るかまとめると、「ザ・ノース・フェイス」という看板ブランドを有するものの、依存率が高い。よって、今後は、自社ブランドの成長が本格化し、株価トレンドが上昇に転じるまで、焦らずタイミングを見極めるのが得策です。

※本記事は投資助言や個別の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資にあたっての最終決定はご自身の判断でお願いします。

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