はじめに

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は内藤忍氏がお答えします。

自力で稼いだ金融資産が1億円ほどあります。現在は無職なので、貯金を切り崩して生活している状態です。ただ、一生貯金に頼ろうとは思っていないし、がむしゃらに働こうとも思っていません。この世に生まれてきて本当にやりたかったことを実行しながら、経済的にも自立したいと思っています。なにかアドバイスお願いします。
(40代前半 独身 男性)


内藤: ご質問ありがとうございます。収入を得る方法は2つあると思います。

1つは自分が働く方法で、もう1つはお金に働いてもらう方法です。前者のウエイトを下げたライフプランを検討しているということであれば、後者のお金に働いてもらう方法を考えなければいけません。

お金に働いてもらう方法とは?

資産運用でリターンを得るには、「キャピタルゲイン」と「インカムゲイン」の2つ方法があります。

キャピタルゲインはうまくいけば大きなリターンになりますが、価格が下がれば資産を大きく減らすことにもなりかねません。株式投資はキャピタルゲインを狙う投資の典型です。

一方のインカムゲインは、元本の変動を最小限に抑えながら、定期的な収入を得るものです。債券や不動産はインカムゲインを狙うことを中心とした投資です。

ただし、債券投資は世界的な低金利の環境下で金利収入が期待できません。日本の10年国債の利回りは0.05%を割り込み低い水準を保っています。海外の債券に投資すると今度は為替リスクが発生します。

このように考えていくと資産運用の対象として不動産が検討に上がります。もちろん、不動産も価格の下落リスクや家賃の下落リスク、さらには空室リスクなどさまざまなリスクを含みますので、絶対に安全というわけではありません。

不動産投資の戦略は?

もし不動産投資を行うとしても、リスクをミニマイズできる戦略を考えるべきです。

例えば、アパートの一棟買いといった投資は物件が1か所に集中し、テナントの管理なども管理会社を探して依頼しなければなりません。将来、売却する場合も金額が大きくなりますので流動性という面でも問題があります。

加えて、新築物件は価格が割高になりがちで、利回りもその分低くなる傾向があります。中古物件でテナントがすでに入っている物件を購入すれば、空室リスクを低減させることができます。

このように考えていくと、国内不動産でリスクを抑えた投資先として中古のワンルームマンションが選択肢のひとつになるでしょう。

管理までを請け負ってくれる信頼性の高い専門業者を見つけられれば、購入後の手間もかかりません。

とても単純な計算になりますが1億円の金融資産があれば、現金購入で2,000万円程度の物件を5つ購入できます。年間400万円~500万円程度の家賃収入を得ることができるかもしれません。また、借り入れができれば、さらにレバレッジをかけて投資することも検討できます。

もちろん、いきなり5つの物件に投資するのではなく、資産の一部を使って投資をはじめ、実績を見ながらその額を検討されるとよいでしょう。

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