はじめに

税制優遇の恩恵を受けながら、老後の自分年金を作る制度として注目されているiDeCoですが、2024年末に「iDeCo」改悪が話題になりました。

iDeCoと退職金を受け取る場合のルールが変更になり、受取時に税負担が重くなるように改悪されました。そこで、iDeCo以外の老後の資産形成の方法に注目が集まっているようです。

今回は、iDeCoも含めた老後の資産形成の手段として考えられる商品のメリット・デメリットを一緒に見ていきたいと思います。


老後の資産形成の方法は?

老後の資産形成の方法には、iDeCo(個人型確定拠出年金)以外にもNISA、財形年金貯蓄、個人年金保険、変額保険などの選択肢があります。どんな資産運用ができるかは、それぞれ異なります。

iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)

iDeCoは、毎月自分で出した掛金を定期預金・保険・投資信託で運用し、その成果を60歳以降に受け取る制度です。iDeCoは、掛金を出すとき・運用中・受け取るときの3つのタイミングで税制優遇が受けられます。

・掛金を出すとき:掛金の全額が所得控除になるため毎年の所得税や住民税が減らせる
・運用中:運用で得られた利益にかかる税金(20.315%)が非課税になる
・受け取るとき:「退職所得控除」「公的年金等控除」によって、税金の負担が減らせる

特に、掛金を出すときの所得控除の効果は大きなものがあります。掛金全額が「小規模企業共済等掛金控除」の対象です。

たとえば、所得税率10%(住民税は一律で10%)の会社員がiDeCoで毎月2万円の掛金を出した場合、毎年の所得税が2万4,000円、住民税が2万4,000円、合計4万8,000円安くなります。30年にわたって同じ条件で掛金を出し続けたら、節税金額合計は144万円になります。自分のためにお金を貯めながら、税金まで安くできるわけです。

ただし、iDeCoの掛金は原則60歳まで引き出せません。急にお金が必要になったとしても、iDeCoのお金を充てることはできません(ただし、老後資金を貯めるためであれば、お金を引き出せないことはむしろメリットともいえます)。

また、iDeCoの口座開設には2,829円の口座開設手数料と毎月171円の口座維持手数料が必ずかかります。さらに、金融機関によっては月数百円の運営管理手数料もかかります。

<iDeCoのメリット>
①掛金の全額が所得控除になり、所得税、住民税を減らすことができる
②運用がうまくいけば大きく増やせる可能性がある
③運用益は非課税になり、受け取り時にも税制優遇がある
④運用商品で投資信託を選択して運用がうまくいけば大きく増やせる可能性がある
⑤60歳まで引き出しができないので強制的にお金を貯められる

<iDeCoのデメリット>
①60歳まで引き出せない(原則中途解約不可)
②運用がうまくいかなければ元本割れする可能性がある
③損益通算・繰越控除ができない
④口座開設時と口座を維持するための管理手数料がかかる
⑤現状、最大65歳までしか掛金を拠出できない
⑥資産受け取り時に退職所得または雑所得として課税される
老後資金はいくら必要? あなたが今からできる資産形成の始め方、お金のプロに無料で相談![by MoneyForward HOME]