はじめに
隠れコストは運用報告書をチェック
ここまででお伝えしたコストは目論見書に明記されており、投資家は事前に確認することができます。一方隠れコストは目論見書ではわかりません。実際の運用状況や市場環境によって変動するので事前に正確な金額を知ることは難しいコストとなります。運用が開始されてから運用報告書を確認する必要があるのです。
隠れコストとして考えられるのは、「その他の費用」や「手数料」と言われるもので、監査法人に支払われるファンドの監査費用、売買委託手数料や有価証券取引税、保管費用などです。
監査費用というのは投資信託に必要な、定期的に外部の監査法人による監査を受けるための費用で、投資信託の資産から支払われるコストです。
売買委託手数料は投資信託の組み入れ銘柄や債券などの売買の時に発生する手数料で、投資信託の運用方針や売買の頻度によって変わります。アクティブファンドなどで売買が多いことが想定される場合はこのコストが高くなる可能性を考えておいた方が良いでしょう。
海外の商品に投資する投資信託の場合は、有価証券取引税や保管費用がかかる場合が。有価証券取引税は有価証券の売買時に発生する税金で、海外の有価証券を取引する場合に発生する可能性があります。保管費用は海外の有価証券を保有する際に現地の保管機関に支払う費用を指します。
加えて信託事務の処理にも費用がかかる場合などもありますので実際の運用期間中に発生した各種費用が詳細に記載されている運用報告書をしっかりチェックしてみてください。
信託報酬が低く設定されている投資信託でも隠れコストが高い場合もありますので、信託報酬だけでなく隠れコストも考慮して投資信託を選択することが重要です。
選ぶ際のチェックポイント
ここで投資信託を選ぶ際に取るべき行動をまとめます。
(1)リターンとともに信託報酬もチェックし、信託報酬が低い投資信託を選ぶ。 例えば、インデックスファンドは信託報酬が低め(0.1~0.3%程度)のものが多いです。
(2)販売手数料が無料(ノーロード)の投資信託を選ぶ。銀行や証券会社で販売手数料がかかるものは避け、ネット証券の「ノーロードファンド」を選びましょう。
(3)実質コスト(運用報告書のデータ)をチェックする。 信託報酬だけでなく、隠れコストを含めた「実質コスト」を確認すると、本当のコストが分かります。
すでに投資信託に投資をされている場合、自分がどのくらいコストを支払っているのか疑問に思ったら投資信託の管理費用を照会して概算管理費用を調べてみてください。わからない場合は証券会社に「投資信託の管理費用を照会したい」と問い合わせてみてくださいね。
投資信託のコストは、長期的な運用成果に大きく影響します。少しの違いでも、数十年後には大きな差になります。
特に、信託報酬+隠れコストを合わせた「実質コスト」を意識して、できるだけコストの低い投資信託を選ぶことが、資産を増やすカギになります!
この連載が皆様の投資の少しでも参考になれば幸いです。