はじめに

トランプ大統領による関税関係のニュースによって、世界中の株式が軟調です。2025年3月10日のNYダウは一時1,000ドル以上下落する場面もあり、NASDAQ指数においては、4%以上の下落となりました。そんな中、逆行高しているのが個人や小規模事業向けのECプラットフォーム「BASE」を運営するBASE(4477)です。

きっかけは、3月10日に個人投資家の牧寛之氏が、BASEの株式保有比率を5.4%から8%に引き上げたと財務省に変更報告書を提出したというニュースです。


かつてはスター銘柄だったBASE

BASEといえば、コロナ禍で一気にスター街道を駆け上がった銘柄です。2020年3月13日の株価は154円、その後10月8日は3,448円まで上昇していますので、たった7ヶ月で22倍以上に膨らんだことになります。しかし、その後2024年の年末には約200円と、ざっくり20分の1まで下落…。まさに株式投資のダイナミズムを味わえる銘柄でした。

一度スターの座から転落した銘柄は、投資家から見放され、その後は名前を聞くことすらほぼなくなります。正直、BASEの存在もかなり薄くなっていたところで、牧寛之氏が買い増したというニュースは、全体相場が低迷する中、存在感のあるポジティブニュースでした。

牧寛之氏が株式市場に与える存在感

いったい牧寛之氏とは、何者なんでしょう?

牧氏は、パソコン周辺機器のバッファローを子会社にもつメルコホールディングス(6676)の2代目社長です。メディアへの露出もあまりなく、SNSなどで目立った発言をすることもありませんが、大量保有報告書で名前が挙がることが多いことから、株好きの中では、かなり注目度の高い投資家です。

ちなみに大量保有報告書とは、上場会社の株式(特定有価証券)を大量に保有することになった場合に、金融商品取引法に基づき金融庁や証券取引所に報告しなければならない制度です。大量保有の定義は、上場会社の発行済株式総数の5%以上のため、いわゆる「5%ルール」と呼ばれています。

牧氏は、経営には口出しせず、コツコツと静かに買い増しをする、いわば「静かなる巨人」です。目立たないけど確実に株を拾い、企業の成長とともにリターンを得るタイプ。企業サイドからしても、ありがたい存在です。

過去にもプレミアアンチエイジング(4934)、ヤプリ(4168)、クシム(2345)、シェアリングテクノロジー(3989)、ベースフード(2936)など、牧氏が、大量保有報告書提出したというニュースで、株価が上昇した銘柄が数多くあり、彼の投資先は「有望」「バリューがある」と評価されます。とくに今回、牧氏は、単にBASEの株を保有したのではなく「さらに買い増した」ことは、当社の今後の成長を強く見込んでいると読み取れ、ほかの投資家がそれに乗っかった形で急騰しました。

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