はじめに
「ギリギリに準備を始めたけれど、なんとか申告期限までに確定申告が終わった!」とホッと一息ついている方も多いのではないでしょうか?
初めての確定申告だと、慣れない申告作業は大変です。そのような中、ギリギリでも申告期限内に終わらせたことは本当に素晴らしいことですが、「とりあえず申告できたから大丈夫」と安心していませんか? 実は、慌てて仕上げたことで、申告ミスしてしまっている可能性もあるのです。
今回は、確定申告をギリギリで終えたけれど十分な確認をしないまま申告してしまった方に向けて、提出後にチェックしておくポイントや修正が必要になった場合の対応を解説します。
また、来年は余裕を持って申告できるようになるためのポイントもお伝えするので、いつもギリギリの申告になってしまうという方も是非参考にしてみてください。
ギリギリでも確定申告できたのは素晴らしい! けれど安心するのはまだ早い
確定申告の期限を過ぎてしまうと延滞税や無申告加算税が課されてしまうため、期限内に終えられた自分をまずは褒めてあげましょう。初めての確定申告で慣れない中、期限に間に合わせることも大変なため、無事に終えたことで「個人事業主としてやるべきことをやった」という自信にも繋がります。
ですが、期限内に申告できたことに安心しきってしまうのは危険です。なぜなら、確定申告は「とりあえず申告」するものではなく、「正しく所得税を申告」しないといけないものだからです。
もし申告ミスをしていると、後から税務署から指摘を受け、納税額が変わることもあります。だからこそ、確定申告書の内容が正しいかどうか見直しが必要なのです。
提出後でも遅くない、今すぐ見直したい3つのポイント
本来であれば、確定申告を終える前に見直すポイントではありますが、チェックしていなかったのであれば申告後でも必ず見直しを行いましょう。今すぐ見直して欲しいポイントは次の3つです。
①申告内容の記入ミス・漏れがないか
売上や経費を二重で計上していないか、反対に計上漏れがないか再度確認しましょう。会計ソフトを活用して銀行口座やクレジットカードを連携させていると、自動で反映されるので計上漏れはないと思いがちです。しかし、領収書を見ながら手動でも計上して二重登録してしまっていたり、連携されていないカードで支払った経費の計上が漏れていたりすることは意外と多いものです。
これらの不備があると、納税額が多くなったり、反対に少なくなったりしてしまうため修正申告が必要になります。また、振込先の銀行口座を間違えていると、還付金が振り込まれない原因にもなるため注意しましょう。
②控除を漏れなく適用できているか
開業届と一緒に青色申告承認申請書を提出している場合、青色申告で確定申告が行えます。この時、「青色申告特別控除」の適用が漏れてしまうと節税対策に繋がらず、青色申告のメリットが薄れてしまいます。
また、配偶者控除や扶養控除など条件を満たしていれば活用できる所得控除や医療費控除、ふるさと納税(寄附金控除)など支払ったものに応じて適用できる所得控除もありますが、自分で申告しないと適用されません。自分にはどの所得控除を適用することができるのか正しく把握しておくことが大切です。
③電子申告のメリットを活用できているか
青色申告特別控除を最大限65万円で活用するためには、e-Taxを使う必要があります。納税額にも影響してくるため、青色申告特別控除を65万円で活用しようと考えていた方は、マイナンバーカードを準備してe-Taxでの提出を行いましょう。
e-Taxで提出した場合は、「送信後に受信通知を確認したか」と「書類提出した場合、控えを保存しているか」も大事なポイントになります。
申告ミスがあった場合の修正は早めに行う
「申告ミスを見つけたけど、もう書類を提出してしまったからそのままにしている」という方はいませんか? 申告ミスの内容によっては、そのまま放置してしまうと大きなトラブルに繋がることもあります。特に、所得を少なく申告したり、控除を誤って多く適用してしまったりすると、本来よりも少ない納税額になっているため、追加で納税する必要がでてきます。この場合、税務署から指摘を受ける前に、自分で申告内容の修正を行うことが重要です。
申告内容の修正が必要なケースを例に挙げると、以下のような場合があります。
- 売上や経費の金額を間違えて入力していた
- 控除を誤って適用してしまった
- 記入ミスや転記ミスで納税額が本来より少なくなっていた
このように、本来よりも税金を少なく申告していた場合に、追加で税金を納めるための手続きをとることを「修正申告」といいます。修正申告は早ければ早いほど、余計な延滞税や加算税を抑えることができるので、気づいたらすぐに修正申告を行いましょう。
反対に、本来よりも多く税金を納めてしまっていた場合に、還付を受けるための手続きをとることを「更生の請求」といいます。5年以内の申告内容であれば更生の請求が可能ですが、期限を過ぎると請求できなくなるため注意しましょう。
間違えずに完璧に申告できるのが理想ですが、ミスに気づくことは珍しくありません。重要なのは「間違えていたらすぐに修正する」意識を持つことなので、気づいたら早めに対応していきましょう。