はじめに
株価の軟調が続いていますね。6日には米ハイテク株の指数のナスダック指数が調整局面入りしており、貿易関税による報復関税懸念や米政府機関閉鎖の可能性もあることなどから米経済が景気後退(リセッション)に陥るという懸念が強まっているよう。米国ではトランプ+景気後退=トランプセッションという造語も出てきている模様です。
9日に米FOXニュースのインタビューでトランプ大統領がリセッション入りの可能性を明確に否定しなかったことで、株式から米国債に資金のシフトの動きが加速したようです。
ただ11日にはトランプ大統領は米国がリセッションに陥るとは予想していないとし、米国は好景気になるだろうと述べたと伝わっていますが、直近で金利が下がっているのに株価も下がっているのは景気懸念が投資家心理を冷え込ませていると考えられますし、経済指標もあまりポジティブではない内容が続いていて、貿易関税、米景気への懸念はすぐには払拭されそうにありません。
そこで今回はリセッションについて、リセッションの際に投資で気をつけることなどをお伝えしていきたいと思います。
景気後退とは?
まず景気後退=リセッションは経済全体が持続的な収縮状態に入ることを示します。景気の山から景気の谷に向かう局面が景気後退期です。
アメリカでは通常は国内総生産(GDP)が2四半期連続で減少することがリセッション入りの目安とされますが、これは「テクニカルリセッション」といわれるもので厳密な定義ではなく、より多くの経済指標の動向によって総合的にリセッションは判断されます。
米国では全米経済研究所(NBER)がリセッションを判断しますが、前回は新型コロナウイルスによる経済活動停止 を背景に2020年6月8日にリセッション入りを宣言、10年8カ月続いた景気拡大局面は2020年2月に終了したとしました。
日本では内閣府経済社会総合研究所が判断を行うのですが、日本ではリセッションを判断する上でGDPではなく内閣府が発表するDI(Diffusion Index)という景気動向指数を判断基準としています。
株価は下落傾向
リセッションの特徴としては経済活動の著しい低下がみられ、消費や雇用などが悪化することが挙げられます。そうなると株式市場は下落に優位性がある状況なので、株式を保有している投資家にとっては含み益が減ったり含み損を抱える時期となりがちです。ですが、正しい知識と戦略を持つことで損失を防いだり利益の機会にもなる可能性があります。
リセッションが発生する原因はさまざまですが、永遠に上がり続ける相場も下がり続ける相場もないため景気循環は経済の自然な動きの一部であると考えられ、その循環がまずリセッションを引き起こす要因の一つとして影響を与えると考えられます。
また中央銀行の金融政策の引き締めも影響します。中央銀行がインフレ抑制のために金利を引き上げると企業の借り入れコストが上昇するので設備投資が減るほか、ローンが上がり住宅の買い控えなど消費意欲減退から経済成長が鈍化します。
地政学的リスクやパンデミック(過去ではオイルショック、新型コロナウイルスパンデミックなど)の外的要因や、2008年の世界金融危機のような資産価格の急激な上昇(バブル)から急落(バブル崩壊)につながることもあります。
リセッションの際には株式のみならず様々なアセットの価格が大きく変動するため注意しましょう。リセッションに備えるためにはご自身の資産のポートフォリオでリスク資産を減らし、国債や金(ゴールド)などを増やすといった対応が一般的に有効とされます。また投資機会に備えて、現金のポジションを確保しておくことが重要です。