はじめに
収入保障と所得補償、見た目はほとんど同じような保険の名前ですが、保険の目的や仕組みがまったく違います。どちらの保険にも該当するような就業不能保険も少し違ったタイプの保険です。どんな時に保険金を払ってくれる保険なのか、目的にあった保険を選べるよう解説します。
収入保障保険、所得補償保険、就業不能保障保険は、いずれも事故や病気などで働けなくなった際の生活を支える保険です。しかし、保険の目的や仕組みに違いがあります。
収入保障保険
保険期間:収入を補填するための保険なので、就労収入がある期間、子供が独立するまでの期間など、長期に渡るが終身保障ではなく、定期保障。
支払要件:死亡・高度障害になった時、身体障害状態になった時、要介護状態になった時、保険期間満了時まで契約の保険金を毎月、または保険期間分を一括で受け取る。
収入保障保険が登場した当初は、死亡・高度障害の時に支払われる保険で、天国からのお給料などと呼ばれていましたが、現在は死亡・高度障害に加え、身体障碍状態や介護状態時まで保障の幅が広がっています。
収入保障の名前のとおり、遺族のためだけではなく、本人の収入減少に備えるための保険になっています。死亡・高度障害を保障から外し、保険料を抑えた商品も登場しています。
収入保障保険の支払い要件は、所得補償保険や就労不能保障保険と違い、障害等級認定、介護認定のように、症状の改善が難しい場合が多く、支払い要件に該当した場合は、保険期間満了まで保険金を受け取り続けることができます。
子供を養育している期間、万一の死亡の際に遺族年金だけでは生活費が不足することがあります。また、万一障害状態になってしまった場合、障害年金の支給はありますが、治療費などにもお金がかかり、生活費を圧迫することもあります。家族をお持ちの方には必要な保障といえます。
所得補償保険
保険期間:損害保険会社が販売する商品で、個人加入の場合保険期間は1年の商品が多く、毎年更新(団体扱いの場合は長期加入も可)。保険料は年齢や職種により違う。
支払要件:ケガや病気で働けなくなった時、契約の保険金月額を填補期間限度に受け取れます。働けないとは、契約時に申し出のあった業務に就けない状態で、入院、在宅療養して仕事を休んでいる状態などが該当します。
所得補償保険は一般的にイメージする働けない状態に対応している保険です。例えば骨折でギプス固定をして歩けず、1ヵ月仕事を休んだ、このような時に保険金を受け取れます。会社へお勤めのひとの場合、傷病手当金という制度がありますから、満額ではありませんが、休業中の収入があります。
自営業の場合、働けないと収入が即途絶えてしまうことになりかねませんので、所得補償保険は大いに役立つ保険と考えられます。この保険は長期に渡り働けない状態には対応できませんから、先に紹介した収入保障保険と併用することを考えてもいいでしょう。