はじめに

お金がたくさんあれば幸せになれるのか。

確かに、ないよりはあったほうが幸せでしょう。人生の選択肢を増やすためには、お金はたくさんあった方がいいというのも間違いではありません。

ただし、お金は使ってこそ価値があり、幸せを得られます。考えたいのは、「幸せ」とはなにかということ。

幸せとお金の関係、長続きする幸せとしない幸せ、幸福度を上げるポイントを一緒に考えていきます。


年収が増えると幸福度も上がる?

お金を使うためにはお金が必要です。ただ、お金は「あればあるほど幸せ」とは限りません。ダニエル・カーネマン氏らの2010年の論文には、年収が6万〜9万ドルになるまでは幸福度は上昇するものの、その後は頭打ちになると示されています。つまり、幸福度は年収に比例しないのです。

この傾向は日本でも同様で、内閣府の調査によると幸福度(総合主観満足度)は世帯年収が2000万〜3000万円までならば比例して上昇するものの、それ以上に年収が上がっても幸福度は緩やかに減少していくことが示されています。

<年収と幸福度の関係>

著書「50代から考える お金の減らし方」(成美堂出版)より抜粋

しかし、カーネマンが2023年に発表した同様の研究では「年収が7.5万ドル以上になっても、幸福度は伸び続ける」という結論が出ています。正確には、幸福度が低いグループでは年収が増えても幸福度は頭打ちになり、高いグループは年収と幸福度が比例するという結論です。

もともと幸福度が高い人は「お金はあればあるほど幸せ」と感じ、低い人は「お金がたくさんあっても幸せは頭打ち」と感じるということです。年収が幸福度に影響を及ぼすのも事実ですが、もとの幸福度の高さも非常に重要なのです。

他人との比較で感じる幸せは長続きしない

年収が増えると幸福度が増す理由は、単純に生活水準が向上するからです。

仮に年収が100万円アップすれば、幸福度は増すはずです。しかし、周りの人の年収も同じように上がっていた場合、幸福度は低下します。なぜなら、幸福度は他人との比較でも変わるからです。

長続きしない幸せを目指すのは、人生の時間の無駄です。健康維持や家族・友人との関係性、趣味など、なにを幸せと感じるかは人それぞれです。お金以外に幸せと感じさせるものがあることを理解し、まずは、自分にとっての幸せをみつけましょう。そして、それを充実させるのが長続きする幸せにつながっていきます。

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