はじめに
「個人向け国債は安全で、最低金利も保証されているらしいけれど、普通預金や定期預金とどう違うの?」と疑問を持っている方はいませんか? この記事では、「金利のある世界」になり注目が高まる国債の基礎知識、個人向け国債の特徴、購入方法を詳しく解説します。
そもそも国債って何? 基礎知識
2014年11月~2023年11月募集分の9年間、3年物の個人向け国債の利率は長らく年0.05%でした。その後少しずつ上昇し2025年3月募集分は0.83%と16倍以上になりました。
「国債」とは、国が発行する債券、平たくいうと国の借金証書です。国は、税収だけでは賄いきれない公共事業や社会保障費などの支出を、国債を発行して資金調達します。投資家は国債を購入することで、国にお金を貸し、満期には元本が戻り、利子も受け取れます。
個人投資家にとって、国債は比較的安全な投資先とされています。なぜなら、企業も債券を発行することがありますが、企業は倒産のリスクがあります。その点、国の信用力は高いため、デフォルト(債務不履行のこと。景気悪化や政情不安により元利金支払いができない状態)のリスクが低いと考えられているからです。
では、デフォルトのリスクをどうやって確認すればいいでしょうか。
民間評価機関である格付会社が調査し、格付けをしています。食べ物のミシュランの星のように、債券も格付け等級があります。安全性の高い順からAAA→AA→A→BBB→BB→B→CCC→CC→C→Dと評価され、BBB以上はデフォルトリスクが比較的低い投資適格債券、BB以下は投機的格付け債券と呼ばれます。
さらに細かく格付けすると「+」や「-」が付きます。例えば「A」の格付けでも、安全性の高い順から、「+A」→「A」→「-A」と表記されます。この格付けは経済状態や政治状況で動きますから、国債などを買う場合はこの指標をぜひ参考にしてください。
格付は会社によって評価基準に違いがあるため、同じ債券でも異なる格付けをされることがありますが、日本の国債はAAA~Aの間を推移しており、安定性が高いとされています。
個人向け国債ってどんなもの?
一口に国債といっても、様々な種類があります。償還期間(お金を返すまでの期間)によって、短期(1年以内)、中期(2~5年)、長期(10年)、超長期(20年以上)に分類されています。
このように様々な期間の国債がある中でも、個人向け国債はその名の通り、個人投資家が購入しやすいように設計された国債です。満期が3年・5年・10年と3種類あり、1万円から購入可能で、年利0.05%の最低金利保証。利子を年2回に分けて受け取ることができます。国が破綻しない限りは元本割れをしない仕組みのため、投資商品の中でもローリスク・ローリターンの位置付けです。
発行後1年経過すればいつでも中途換金が可能ですが、直前2回分の各利子(税引前)相当額×0.79685の中途換金調整額が元本から差し引かれます。元本割れはありませんが資金拘束の割に増えない結果になってしまいます。
では、馴染みがある普通預金や定期預金と個人向け国債はどのような違いがあるでしょうか。
安全性は3商品とも高いですが、国債は国が保証、預金は預金保険制度で保護と仕組みが異なります。入出金のしやすさ(流動性)は普通預金が圧勝ですが、ある一定期間お金を貯めるとなると、個人向け国債や定期預金の金利の方が普通預金を上回ります。解約に日数がかかるなどの違いや中途解約のペナルティで利率が下がりますので、預入期間を見極めて入金しましょう。