はじめに

「累進配当」という言葉をご存知ですか?配当株投資の中でも、累進配当銘柄は投資家にとって特に注目すべきカテゴリーです。高配当銘柄や連続増配銘柄とともに「配当株投資」の三本柱の一つとして位置づけられ、特に安定したキャッシュフローを求める長期投資家にとって魅力的な選択肢となります。今回は累進配当銘柄の特徴やメリット・デメリットを、高配当銘柄や連続増配銘柄と比較しながら詳しく解説します。


減らさない・引き上げる

累進配当銘柄とは配当金を減らさない、もしくは引き上げる方針を掲げた銘柄のことです。長期にわたって累進配当を掲げる企業は、株主還元の姿勢が非常に強いといえます。業績が多少悪化しても安定した配当を支払うために内部留保や資金計画を慎重に管理していることも多いです。

新NISAなど長期投資で配当を意識する投資家も増えていますが、実は多くの配当銘柄が景気後退期や業績悪化期で減配リスクを抱えるなか、累進配当銘柄はこのリスクを軽減しています。減配はネガティブなニュースであると市場では考えられます。

減配そのものもですが、配当を減らさねばならない事情があることがその企業の成長鈍化などの悪いシグナルと受け取られるため、減配の可能性が低いこと自体が株価下落を防ぐ要因となります。

メリット・デメリット

累進配当銘柄の最大の魅力はまずは配当の安定性です。配当金が減るリスクが低いというのは、株価の上下に一喜一憂せず、安定したインカムゲインを得たい投資家にとって大きな安心材料となります。特に、老後の生活資金や定期的なキャッシュフローを重視する投資家に適しています。

累進配当を掲げる企業は、財務基盤が安定かつ事業の見通しも安定して成長が見込まれている傾向にあります。そのため、短期的な業績の浮き沈みによるリスクが比較的小さく、長期投資の選択肢としても有望だといえます。

累進配当のデメリットも挙げておきましょう。まずは配当利回りが高くない銘柄もあることです。配当額が安定している一方で、初期の配当利回りが高配当銘柄に比べて低い傾向にあります。そのため、高い配当収入を早期に求める投資家には物足りない場合があります。利回りにこだわる場合はそこにフォーカスを当てて銘柄を選ぶ必要があるでしょう。

成長余地の制限につながる場合も。配当を減らさないという方針は、ある意味で企業の財務柔軟性を制限してしまうことにもつながりかねません。特に新規事業への投資や成長分野への資本投入が制限される可能性があり、株価成長性が抑えられる場合があります。

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