はじめに
高配当銘柄と比較
ここで高配当や増配の銘柄と比較したいと思います。まず高配当銘柄ですが現時点で利回り非常に高いことが最大の魅力です。一般的に3.5%以上、もしくは4%以上を高配当といいますが、5%以上の株式も結構あります。利回りが高ければ高いほど短期間でも高いインカムゲインを得ることができるわけです。ただこれらの銘柄は、資産を増やすよりも配当還元を重視している企業が多いのが特徴です。加えて高配当銘柄の課題として配当が必ずしも安定しているわけではない点も押さえておきましょう。業績が悪化すれば減配のリスクも高く、配当利回りの高さがそのまま魅力として続く保証はありません。また「高利回り」を理由に購入している投資家が高利回りであるほど多いことも想定されますので減配となると株価下落リスクも高くなる傾向があります。
高利回りと比較したときに累進配当銘柄は配当の安定性を重視しているため、高配当銘柄ほどの高利回りは期待できませんが、長期的に持つことで安定したインカムゲインを得られる点が強みです。
連続増配銘柄と比較
連続増配銘柄とも比較してみましょう。連続増配銘柄は、毎年配当を増加させている企業を指します。例えば、米国ではコカ・コーラやマクドナルドなどが何十年にもわたり増配を続けています。10年以上増配を続ける米国の銘柄で構成されるETFのVIGは日本の投資信託でも人気です。
VIGの組み入れ銘柄のように10年以上連続して増配できている企業はコロナショックの際にも配当を増やすことができたという事です。そのくらいブランド力や市場シェア、財務面でしっかりしている企業であると考えられます。増配は企業の成長性や財務健全性を示す指標とも考えられます。
ただ、増配のペースが鈍化した場合や、減配に転じた場合には市場から厳しい評価を受ける可能性があります。また、配当を増やし続けることに注力するあまり、事業成長への投資が制限されるリスクもあります。連続増配は配当額の増加を重視している一方、累進配当は「配当を減らさない」ことに重きを置いています。そのため、累進配当銘柄は連続増配銘柄よりもさらに安定性が高いと言えます。
累進配当銘柄を選ぶケース
そうなると投資家が累進配当銘柄を選ぶべきケースとしては、安定したキャッシュフローを重視する場合、長期的な資産形成を目指すうえで減配リスクを極力避けたい場合、利回りより安定感を重視したい場合などが考えられるのではないでしょうか。
高配当銘柄や連続増配銘柄と比較すると、短期的な利回りの高さや配当成長のスピードでは劣るものの、その安定性とリスク管理の観点から、ポートフォリオに組み入れる価値は非常に高いと言えます。