はじめに
2025年1月、SNSに投稿された「すき家」のお味噌汁にネズミが混入していたという写真が大きな波紋を呼びました。その後も都内の店舗でゴキブリの一部が混入していたことが発覚。この一連の出来事は、企業のガバナンスやブランド価値に対する世間の注目が高まる中で起こりました。
騒動前の当社の株価は上場来高値をつけていましたが、異物混入の発覚後は、下落基調にあります。過去最高益を4期連続で更新する見通しの中で起きたこの騒ぎは、今後の業績にどのような影響を与えるのか、また、株価の下落は投資チャンスなのかを考えたいと思います。
直近の決算は好調だったものの…
きっかけは、鳥取県の「すき家 鳥取南吉方店」で提供されたお味噌汁にネズミの死骸が混入していたという写真がSNSで拡散されたことでした。その後、東京都の昭島駅南店でも害虫混入の報告があり、相次ぐ異物混入事案に対する世間の不安が広がりました。
ゼンショーはこれを重く受け止め、3月31日午前9時から4月4日午前9時まで、全国のすき家店舗を一斉に休業。店内の清掃や駆除対策、全従業員への衛生指導を徹底する方針を打ち出しました。日商約6億円とされる中、4日間の休業による売上減は、単純計算で約24億円と試算されています。
まずは、直近のゼンショーの決算を確認しましょう。
画像:ゼンショーホールディングス「2025年3月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」
2025年3月期第3四半期は、①売上高8,467億円(②前年同期比+19.8%)、③営業利益580億円(④前年同期比+55.2%)と絶好調。通期の営業利益予想に対する進捗率は90%を超えています。
当社は、グローバルすき家、グローバルはま寿司、グローバルファストフード、レストラン、小売、本社・サポート、その他と7つのセグメントに分かれています。そのうちグローバルすき家の売上高比率は約26%、営業利益比率は約325%。つまり、ゼンショー全体の約1/4の売上を占めつつ、営業利益では1/3以上を生み出しており、非常に高い収益性を持つ主力セグメントであることがわかります。
また、はま寿司(売上高1,801億円/+25.9%)、ファストフード(なか卯やロッテリア等、売上高2,361億円/+38.6%)など、グループ全体としてもバランスよく成長しており、企業全体でみればかなり体力はあるように感じます。
それでも市場の反応は敏感でした。異物混入が報じられた3月22日の翌営業日の株価は前日比5.1%の下落。また既存店の客数にも翳りが見えており、新年度スタートは暗雲が立ち込めています。
全店の休業を発表した3月31日の終値は前日比3.9%安の8,051円でした。2024年12月6日につけた上場来高値の9,749円からは、18%程度下落しており、ここからさらに下落が続くのか、それとも押し目買いのチャンスなのか、見極めが必要です。