はじめに

2025年4月、トランプ大統領の政策により市場は下落転換。4月7日には米主要株価指数先物が急落し、一時的にですが、これまでで最速ともいえる「強気相場から弱気相場への転換」を見せました。強気相場と弱気相場には、明確な背景と兆候があります。過度に楽観的・悲観的にならず、今がどの局面かを冷静に見極めることができれば、相場の動きはチャンスになり得ます。上昇と下落のサイクルやトレンドを捉え、リスク管理と資産形成に活かす戦略とは?


強気と弱気の定義、上昇と下落のサイクルを捉える

株式市場は「強気(ブル)」と「弱気(ベア)」という2つの局面を繰り返すといわれています。投資家にとって、このサイクルを正しく理解し、どのように行動すべきかを見極めることは、リスク管理と資産形成の両面において極めて重要です。

基本的な定義を確認しておきましょう。「強気相場(Bull Market)」は、株価が長期的に上昇傾向にある局面で、投資家が景気の先行きを楽観視してリスクを取る姿勢が強くなりやすい、いわゆるリスクオンの状態です。株価が直近の最高値から10%下落で「調整局面」、20%以上の下落で「弱気相場(Bear Market)」といわれます。弱気相場では投資家心理が冷え込んで悲観的なムードが台頭。その背景には、経済指標の悪化や企業業績の悪化があることが多いでしょう。一般的に強気相場は数年続くことが多く、緩やかに上昇することも多いです。一方、弱気相場は急速な下落をすることも多く、半年から1年程度で収束するケースが多いですが、その長さやインパクトは時代によって異なります。

では相場の転換点はどう掴めば良いのでしょうか?

相場の転換サイン──金融政策・経済指標・投資家心理

相場転換を完璧に見極めるのは至難の業であるとはいえ、兆候の把握はできるでしょう。

強気相場への転換サインは、金融緩和策で金利の下落が見込まれる場合や経済政策です。具体的にはFRBの利下げ、景気指標の底打ち、雇用の回復などに加えて、投資家のセンチメントが極度に悲観的であるときも逆張りの好機といえるでしょう。

例えば、リーマン・ショックで相場が急落した後、FRBの量的緩和政策と超低金利環境が続き、米国株は10年以上にわたる上昇トレンドを継続しました。コロナショックの急落の後も、積極財政・金融政策が強気相場に導きました。日本では、2012年のアベノミクスで「大胆な金融緩和」「機動的な財政出動」「民間投資を喚起する成長戦略」からなる“三本の矢”が株高につながったことを覚えている方は多いでしょう。いずれも強気相場の初動を捉えれば、多少出遅れても「買って保有すれば資産が増える」状況といえそうです。

続いて弱気相場への転換サインですが、AAII(米国個人投資家協会)のブル・ベア比率(ブル・ベア指数)が極端な方向に行くなど、投資家心理が強気な時は要注意です。また、短期金利が長期金利の水準を上回る状態「長短金利の逆転現象」(逆イールド)も下落転換のサインといわれます。2022年のFRBの利上げ転換(金融政策の引き締め転換や予想を超える利上げ)や、トランプ関税のような政策不安、景気への懸念、地政学リスクも下落のきっかけとなりやすいです。

以上のようなファンダメンタルズ分析に加え、タイミングをはかる上ではテクニカル分析も重要です。

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