はじめに

ただでさえ分かりにくい“扶養”の仕組み。「パートで働く場合でも混乱しやすいのに、働き方を変えたらどうなるの?」と思う方も多いでしょう。働き方が多様化してきた中で、パート以外の働き方も注目されるようになってきています。しかし、扶養内で働きたい場合、働き方を変えて扶養状態が維持できるのか、それとも仕組みや条件が変わり維持できなくなるのかは気になるところです。

今回は、パート以外の働き方としてフリーランスと個人事業主で働く場合、扶養状態が維持できるのかどうかを検証していきます。その上で、それぞれの働き方のメリット・デメリットを比較し、あなたにあった働き方が選べるように判断基準をまとめました。


働き方を変えても扶養状態は維持できるが、条件が異なる

まず「扶養内で働く」といっても、扶養には「税金の扶養」と「社会保険の扶養」の2種類があります。どちらの扶養を意識しているのかで話が変わってきますが、今回「税金の扶養」は考えません。なぜなら配偶者の扶養に入っている場合、年収150万円までは扶養から外れないためです。一方で「社会保険の扶養」は年収130万円を超えると配偶者の扶養から外れることになります。そのため、今回は「社会保険の扶養」内で働くことができるのかを検証していきます。

配偶者の社会保険の扶養に入りながらパートをしているのであれば、年収を130万円未満に抑えることで扶養状態を維持できます。これは、パート以外の働き方にした場合も、社会保険の扶養に入った状態を維持することが可能です。

ただし、フリーランスと個人事業主の場合、この年収130万円の基準が「売上130万円」になるのか、それとも「所得(=売上−経費)130万円」になるのかは配偶者が加入する健康保険組合によって条件が異なります。また「所得」といっても、経費に算入できるのは「直接的経費」だけです。そのため、配偶者の健康保険組合にどちらの基準で130万円を意識すべきなのかを確認する必要があります。

また、フリーランスと個人事業主の境目はあいまいですが、目安として「開業届を出しているかどうか」が一つの違いになります。しかし、開業届を提出したことで経済的に自立しているとみなされ、売上金額に関係なく扶養条件から外れてしまう場合もあります。そのため、パートから個人事業主として働くことを考えている場合は、開業届を出す前に扶養条件について確認しておきましょう。

扶養内で働く選択肢は3つ! 働き方別のメリット・デメリット

扶養内で働く=パートと考える方もいるかもしれませんが、最近では在宅ワークなど柔軟な働き方を選ぶ方も増えています。実際に扶養内で可能な働き方としてはどんなものがあるのでしょうか。それぞれの働き方について、メリットとデメリットを比較しながら見ていきましょう。

①パート

会社と雇用契約を結び、勤務時間に応じて給与を受け取る働き方です。

【メリット】
・雇用が安定しているため、給与が一定額入ってくる
・労災保険や雇用保険など公的保障が充実している

【デメリット】
・シフトや勤務時間に縛られやすくなるため、時間の自由度が低くなる
・昇給すると130万円を超える可能性があるため、出勤時間や日数の調整が必要になる

毎月安定した給与をいただきたい、扶養内で無理なく収入を得たい方におすすめの働き方です。

②フリーランス

フリーランスは、会社に雇われずに働く方の総称です。企業や個人と業務ごとに契約を結び、報酬を受け取る働き方です。

【メリット】
・自分のスキルを活かした働き方ができる
・自宅で働くことも可能なため、時間や仕事量を調整しやすい
・経費を使えるため、税金を抑えられる

【デメリット】
・収入が不安定になりやすい
・労災保険や雇用保険などの公的保障がない
・確定申告を行い、自分で税金を納める必要がある

自分のスキルを活かして働きたい、自分のペースで時間の融通が効く働き方がしたい方におすすめの働き方です。

③個人事業主

開業届を提出して、事業として仕事を行う働き方です。フリーランスからステップアップする方も多い働き方です。

【メリット】
・青色申告を活用することで、最大65万円の控除を受けられる
・経費を使えるので、税金を抑えられる
・自分のスキルを活かした仕事で、将来的に収入を増やすことが可能

【デメリット】
・開業初期は収入が安定しないため不安になりやすい
・開業手続きや確定申告が必要になる
・売上や経費を自分で管理し、税金を納める必要がある

フリーランスからステップアップしたい方、将来的に扶養を外れてビジネスを拡大させたい方におすすめの働き方です。

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