はじめに
米中両政府が100%を超える高関税を一時停止することで合意しました。8月前半までの90日間の「停戦」期間を設けるとしています。両国が歩み寄りの態度を示したことから、株式市場は堅調に推移し、4月前半の下落前の水準を上回る場面も見られました。
このような状況の中、多くの企業で決算発表が行われていました。今回の特徴として、関税の行方が不透明なことから、減益予想を発表する企業が多く見られました。しかし、減益予想にも関わらず増配や自社株買いの株主還元を行う企業も目立ちました。4月も累進配当企業を紹介しましたが、その後に累進配当を公表した企業を紹介します。
マツキヨココカラ
マツキヨココカラ(3088)は、都市型ドラッグストアの代表格です。同社は、先日、中期経営計画(2026年3月期~2031年3月期)を策定しました。計画最終年度の2031年3月期には、売上高は1兆3000億円、EBITDAマージン13%以上、ROE(自己資本当期純利益率)12%以上を目指すとしています。また、利益還元を経営の最重要項目の一つと位置づけ、今後もより一層の充実を図るべく、累進配当を基本に、配当性向の新たな目標として30%から50%に引き上げると発表しました。
ジャノメ
ジャノメ(6445)は、家庭用ミシン最大手です。同社は、2025年度から2027年度までの3ヵ年を対象とする中期経営計画を策定しました。基本方針として2027年度までに売上高435億円(24年度363億円)、営業利益9.2%(24年度6.1%)、ROE8.1%(24年度5.2%)を掲げました。ROE8%以上、PBR1倍以上達成のために、長期間での安定した配当を実施し、中長期的な利益成長に応じた増配を目指すとしています。累進配当を意識しDOE3%以上かつ、連結配当性向40%以上を目安に配当を実施すると発表しました。同時に、資本市場の動向を踏まえ機動的に自己株式を取得する考えも示しました。
ノリタケ
ノリタケ(5331)は、世界最大級の高級陶磁器・砥石メーカーです。同社は、2025年度から2027年度までの3ヵ年を対象とする第13次中期経営計画を策定しました。第13次計画の最終年度(2027年度)の数値目標は、連結売上高1575億円、連結営業利益135億円、連結経常利益175億円、ROE9%以上とし、PBR1倍超の早期の実現を目指します。株主還元の拡充も示し、配当性向は30%以上から35%以上に、一株当たり年間140円を下限とした累進配当を実施します。また、機動的に自己株式を取得する考えも示しました。