激務の地方産科医、フリーランス医師に転身したのちの逆転生活
院内政治よりも現場仕事にやりがい
前回は、東京のM医大から地方のN病院に派遣され、単身赴任で頑張ってはいたものの激務に燃え尽きてしまった産科医、津田先生について前編で紹介しました。以前紹介した、「医師免許さえあれば誰でもできる仕事をアルバイト的に請け負う」フリーター医師とは異なり、ドラマ「ドクターX」のように「専門医のライセンスと叩き上げのスキル」で生きるというフリーランス産婦人科医に転身した後の津田先生の人生を覗いてみましょう。※本稿は特定の個人ではなく、筆者の周囲の医師への聞き取りをもとにしたモデルケースです。
単身で地方出向を続ける男性産科医、訴訟対策と激務の果てに
分娩を取りやめる病院も増加
医学部の相次ぐ定員増や2016~2017年に医学部が2校も新規開設されたにもかかわらず、医師不足のニュースは相変わらず世間をにぎわしています。診療科別にみると、医師不足の筆頭に挙がるのが産婦人科ではないでしょうか。昭和時代には「病院で唯一『おめでとう』と言える科」「開業すればキツいが儲かる」として一定の人気があったのですが、「医療訴訟の多発」「当直の多さ」などから、近年のワークライフバランス重視ムードの中で志願者が急減しています。1994年から2016年で、医師総数は23万人から32万人まで39%増加しているのにもかかわらず、この期間に産婦人科医は6%減少しています。今回は、地方の公立病院で常勤医師として働く産科医、津田先生のお財布と人生を覗いてみたいと思います※本稿は特定の個人ではなく、筆者の周囲の医師への聞き取りをもとにしたモデルケースです。
医師免許を生かしてアルバイトで生活、近年都市部で増加中の「フリーター医師」
「健康診断」「予防接種」「レーザー脱毛」……
ドラマ「ドクターX」の効果もあって、「専門医のライセンスと叩き上げのスキルだけを武器」というフリーランス医師が注目されています。具体的には、「外部市場で売れる確かなスキルがあり、一日単位(あるいは、手術一件単位)で複数の病院と契約して報酬を得る医師」とされ、通訳やピアニストのようなワークスタイルになります。一方で、俗に「フリーター医師」と呼ばれる医師も東京を中心に増加中です。具体的には、「専門医資格やスキルが必要なく、医師免許があればできるレベルの仕事を、アルバイト的に請け負う医師」とされ、「健康診断」「予防接種」「寝当直(急病人のほとんど発生しない病院での管理当直)」などで稼ぐことになります。「ゆるふわ女医」の独身バージョンでしょうか。今回は、近年増加中のフリーター医師のお財布事情と人生を覗いてみたいと思います。※本稿は特定の個人ではなく、筆者の周囲の医師への聞き取りをもとにしたモデルケースです。
心臓外科医が美容外科医に “異色転職”で給料は4倍以上、働き方も「脱年功序列」
知られざる医師の転職事情
「白い巨塔」時代に外科医を志し、激務で知られる心臓外科医になったものの、「新研修医制度」「新専門医制度」などの制度変更や、表面的な「働き方改革」で燃え尽きた、園田先生のお財布と人生を前回は紹介しました。今回は、北関東のE県立病院心臓外科を辞めて、都内の美容外科クリニックに転職した後編をご紹介します。※本稿は特定の個人ではなく、筆者の周囲の医師への聞き取りをもとにしたモデルケースです。
激務に耐える心臓外科医、後輩が入らず「いつまでも下っ端」で見えない希望
「男なら外科だろ」と言われて進んだものの……
医師の「働き方改革」に関連して、勤務医のブラック労働が話題になっています。全診療科の中でもブラック労働で筆頭に挙がるのが外科、中でも心臓外科でしょう。昭和時代から数多くの医療ドラマで主人公となり、かつては花形として若手医師(多くは男性)を惹き付けていたのですが、近年の女医率増加やワークライフバランス重視の中で志願者が急減し、絶滅危惧種と言われるまでになりました。今回は、北関東の公立病院でブラック労働に悩んでいる心臓外科医、園田先生のお財布と人生を覗いてみたいと思います。※本稿は特定の個人ではなく、筆者の周囲の医師への聞き取りをもとにしたモデルケースです。
医療界の最大の勝ち組!? 夫も実家も医師家系「ゆるふわ女医」のお財布事情
“パート勤務”と役員報酬で悠々自適
2004年度からの新研修医制度と、中途半端な女性支援に翻弄された「ロスジェネ女医」を前回は紹介しました。一方で、俗に「ゆるふわ女医」と称される女医も東京を中心に増加中です。具体的には、「医師夫を持ち、都市部に住んで、マイナー科(眼科・皮膚科など)を専攻し、時短やパート勤務で効率よく稼ぐ」女医群とされ、「当直・手術・救急・僻地勤務は一切いたしません!」が特徴でもあります。2018年に東京医大などで問題となった「医大入試における女性減点」の一因とも言われています。今回は、医療界で「最大の勝ち組」とも言われる、「ゆるふわ女医」のお財布事情を覗いてみたいと思います。※本稿は特定の個人ではなく、筆者の周囲の医師への聞き取りをもとにしたモデルケースです。
“ママ女医”が増加して過重労働に 「ロスジェネ独身女医」の苦悩
地方の女医の生きづらさ
今どき若手医師の人気は、「東京>地方」、「マイナー科(眼科・皮膚科・精神科など)>メジャー科(外科・内科・産婦人科など)」、「一般病院>大学病院」と言われています。2004年度からの新研修医制度によってこの傾向が始まり、2018年度からの新専門医制度によって一気に加速しました。今回は、この三重の不人気条件を揃えた、「地方の大学病院のメジャー科の医者」の人生を覗いてみたいと思います。※本稿は特定の個人ではなく、筆者の周囲の医師への聞き取りをもとにしたモデルケースです。
アルバイトは禁止でも「働き方改革」でホワイト化、“今ドキ研修医”の懐事情
かつては月給2万円の時代も
研修医といえば、ドラマ「白い巨塔」に登場する柳原研修医のように、「大学病院での雑用を押し付けられて長時間労働、給料は激安、教授に睨まれると僻地に飛ばされる」といった悲惨なイメージを持っている人も多いかもしれません。しかしながら、現在の研修医は「働き方改革」が、かなり進んでいるようです。今回は「医者のヒヨコ」とでも言うべき研修医のお財布事情と人生を報告したいと思います。※本稿は特定の個人ではなく、筆者の周囲の医師への聞き取りをもとにしたモデルケースです。
大学病院の教授、本給は“公務員並み”でも年収2000万円超えのカラクリ
フリーランス女医が教える「医者の財布と人生と」
私の仕事は麻酔科医、フリーランスとして毎日違う病院に出張し、数多くの医師・看護師とチームを組んで麻酔をかけており、その合間に医療関係の記事も書いています。医者と言えば「高い収入とステイタスが保証され、タワマンや外車のような優雅な生活を送っているはず……」と、早合点してはいけません。日本の医師免許保有者は約31万人であり、全員がお金持ちという訳ではないのです。本連載では、医者のキャリアを細かく分類し、その人生や気になるお財布事情を覗いてみたいと思います。※本稿は特定の個人ではなく、筆者の周囲の医師への聞き取りをもとにしたモデルケースです。
「いい女医」「残念な女医」はどうやって見分ける?
長く通うなら「常勤医師」が安心
私はフリーランス麻酔科医として医療現場で働く合間に、執筆活動やテレビドラマ制作協力などを行い、私生活では二児の母でもあります。今回は、最近話題に上ることの多い「女医」について、皆さんが興味を持つであろう「いい女医、残念な女医の見分け方」を語っていこうと思います(一部の見分け方は、男性医師にも共通します)。