中国が対米依存低減を加速させる「国家半導体ファンド」の存在感
第2弾がいよいよ始動
新型コロナウイルスの感染が世界各地に広がり、実体経済への影響が懸念される中、中国では半導体産業の育成に向けた新たな計画が静かに動き出しています。中国国内の報道によると、政府財政部が出資する国家IC産業投資ファンド(以下、国家半導体ファンド)の第2弾が資金調達を終え、今年3月下旬から投資の段階に入った模様です。同ファンドの主な出資元は、政府財政部と各地方政府、中国煙草(タバコ)総公司、国有3大通信キャリア、その他民間資本となっており、半導体の設計から製造、テスト・パッケージまで自国内で完結するサプライチェーンの育成を目指して国内の半導体企業に対して出資を行っています。
新型コロナで景気失速したアジア新興国の深刻な現状
利下げも焼け石に水
新型コロナウイルスの感染拡大が続いています。感染の中心地は、欧州や米国などに移っていますが、アジア新興国もそれぞれ緊急対応に追われています。各国がどういった影響を受けているか、その中でどのような対応でこの事態を乗り切ろうとしているか、各国の置かれている現状と直近実施している政策等を挙げてみたいと思います。
新型コロナで瀬戸際、海外資金が流出する「東南アジア」の行方
相次ぐ利下げも焼け石に水
東南アジアで新型コロナウイルスの感染が急拡大しています。2月までの感染者ゼロから一転、爆発的な感染拡大の瀬戸際に立たされた各国政府は、足元あらゆる規制を強めています。中には事実上の国境や首都圏の封鎖に踏み切る国も出てきました。
中国コロナ患者“増勢一服”は株式市場の「悪材料出尽くし」を意味するか
先行き判断のポイントは?
湖北省武漢市を中心に発生した新型コロナウイルスは、中国経済に甚大なインパクトを与えています。そうした中、中国政府は2月24日、3月5日に開幕予定だった全国人民代表大会(中国の国会に相当)を延期すると正式に発表しました。全人代は最高の国家権力機関で、省・直轄市・自治区・特別行政区および軍隊が選出する代表によって構成され、1年間の中国の基本政策などを決める最も重要な政治日程の1つです。新たな開幕日も示せなかった事態は極めて異例で、中国の新型コロナウイルス問題が依然として終息していないことを示唆しています。実際、2月24日に北京で開催された「新型肺炎対策会議」で対策本部長(指導小組・組長)を務めている李克強首相は「感染拡大を抑えると同時に、工場の生産再開を推し進め、正常な日常生活を回復させるため、手を緩めるな」と檄を飛ばしています。中国政府が本当に抱く危機感などは、こうした最高指導部の動きからも見る必要があると思います。
新型コロナの陰で「中国のネットビジネス」に脚光、災いを転じて福となる?
遠隔授業や在宅勤務… 次なる成長企業に注目
昨年末から中国で流行し始めた新型コロナウイルスは、政府当局による厳格な対策にもかかわらず、感染者数が増加し続けています。2月20日時点で、中国国内の新型コロナウイルスの感染者数は累計で約7.6万人、感染疑いの人も含めると約8万人を突破しました。足元では頭打ちの兆候が少し出ているものの、1~3月のGDP(国内総生産)成長率や企業業績への悪影響は避けられないでしょう。感染対策の期間中は中国全土で人の移動が制限されているため、飲食店や小売店、映画、旅行などサービス業への影響が特に大きく、企業の倒産や営業停止、従業員の解雇や無給待機といった話が多く聞かれています。その一方で、実店舗の営業停止によって抑制された消費者の需要はオンラインに流れており、感染拡大の陰でインターネットを活用したさまざまなサービスが国民生活に浸透し始めています。
新型肺炎騒動の裏で現職圧勝、“世界の半導体工場”に何が起きているか
前哨戦の苦戦を覆した2つの変化
足元では中国発の新型肺炎が世界の金融市場の最大関心事となっていますが、この問題が深刻になる前の1月11日には、台湾で4年に1度の総統選挙が実施されました。その選挙結果は、東アジアの地政学バランスに変化をもたらし、ひいては世界の金融市場にも影響を及ぼす可能性をはらんでいました。結果は、現職の民進党・蔡英文氏が事前予想を上回る圧勝。その背景にはどんな事情があり、これを受けて台湾を取り巻く経済環境はどうなっていくのか、考えてみます。
“第4のがん治療”が中国で急発展、注目株はどんな企業?
期待の新薬が国承認リストに初収載
2019年11月28日に公表された「国家医療保険償還医薬品リスト(NRDL)」では、初めて「がん免疫療法」の「PD-1阻害剤」がリストに収載されました。これによって中国では今後、がん免疫療法の研究・開発が一段と進むとみられます。このがん免疫療法は、「手術」「化学療法」「放射線療法」に続く第4のがん治療として世界的にも注目を集めています。なぜ中国でこの第4の治療法の研究が急速に進んでいるのか、そしてどのような銘柄が注目されるのか、掘り下げみたいと思います。
ベトナム株の看板銘柄に異変?最大財閥「ビングループ」が小売事業を手放すワケ
急成長市場のはずなのに…
ベトナム最大の民間企業のビングループは昨年12月、同社が手掛ける国内最大のコンビニエンスストアチェーン「ビンマートプラス」など小売事業の経営権を、食品最大手のマッサングループに売却することを発表しました。同国は東南アジア第3位となる約9,600万人の人口を擁し、2040年ごろまで労働力人口の増加が見込まれています。所得水準の向上を追い風に、ベトナムの小売市場規模は2020年までに2010年の約2倍に当たる1,800億ドルへと拡大(ベトナム統計総局調べ)。中でもコンビニ市場の成長率は2017~2021年にアジア最大となる年平均37.4%が期待されています(英調査会社IGDまとめ)。このように小売市場が急成長する中、業界を牽引してきたビングループの事業売却にはどのような背景があるのでしょうか。
意外に堅調だった2019年の「中国株」、2020年の見通しは?
来年の注目ポイントはどこか
2019年は、米中貿易摩擦をめぐって世界の株式市場が大きく揺れ動いた1年になりました。ですが、その当事国である米国と中国の株価指数は意外に堅調です。米中の摩擦が完全に解消したとは考えにくい中、2020年の中国株市場はどのような展開が予想されるのでしょうか。中国株を取り巻く相場環境を踏まえて、来年の相場見通しについて考えてみたいと思います。
米中貿易戦争で被弾、「タイ」の現地経済は今どうなっているのか
止まらぬ通貨高に打つ手は?
アジア新興国では、米中貿易戦争が長期化している中で、さまざまな問題が顕在化しています。その問題の1つがサプライチェーンの崩壊です。これまでサプライチェーンには多くのアジア新興国が組み込まれていたため、各国とも多かれ少なかれ影響を受けています。その影響が大きい国の1つが、タイです。同国では、今年3月に民政移管に向けた総選挙が実施されましたが、選挙後も目立った変化がみられません。改善のみられない政治情勢に加えて、経済のほうでも成長減速、不安定な通貨など、多くの問題を抱えています。そこで今回は、タイの現状と同国が抱えている問題点などに関して、確認してみたいと思います。
旅客数は年率3割成長、「ベトナムの航空業界」がアツいワケ
“ポスト中国”の注目セクター
ベトナム政府は11月15日、民間航空分野における投資規制の緩和を発表しました。これにより、同国の航空会社に対する外国人投資家の出資比率の上限が従来の30%から34%に引き上げられました。多くの読者にとって、ベトナムの航空業界の動向はこれまで関心の高いものではなかったかもしれません。しかし、米中の対立を受けて“ポスト中国”が模索される流れの中で、ベトナムの航空産業は高い成長が見込まれています。国際航空運送協会(IATA)によると、ベトナムの航空旅客数は2012~2017年に年平均29%増加し、アジア・太平洋全体の同8.7%増を大きく上回りました。現在は異業種からの参入が相次いでいるのに加え、日本企業も含めた外資系企業の出資拡大観測が浮上するなど、世界の株式市場の中でも注目度の高いセクターの1つとなっています。
中国人はイヌ派?ネコ派?年率2割成長の「ペット市場」で有望な投資先
今や世界2位のペット大国
世界的にペット関連市場が拡大する中、中国でも都市部を中心にペットを飼う世帯が増加しています。昔の中国でペットを飼うのは子供が巣立った年輩世代が多かったですが、最近では1980~1990年代以降に生まれた若い世代が中国のペットブームを支えています。その背景には、生活水準が向上する一方で生活や仕事のストレスが大きくペットが癒しや喜びを与えてくれる存在になっていることに加えて、一人っ子政策や核家族化などに伴い“家族の一員”としてペットを迎え入れる傾向が強まったことなどが挙げられます。こうした流れを受け、中国のペットブームはさまざまな分野で新たなビジネスチャンスを生み出しています。そうなると気になるのが、有望な投資先です。いったいどんな関連銘柄が存在しているのでしょうか。
経済効果は250兆円?「5G」商用サービス始動で注目の中国銘柄は?
4Gは1年足らずで67倍に成長
中国国内では、10月中にも第5世代移動通信サービス(5G)の商用サービスが正式に始まるとの期待が高まっています。同国政府の工業情報化部は6月6日、中国移動(チャイナモバイル)、中国聯通(チャイナユニコム)、中国電信(チャイナテレコム)、中国広播電視網絡有限公司(中国広電)の通信4社に対して、第5世代移動通信サービス(5G)の営業ライセンスを交付しています。すでに、7月から8月にかけてZTEとファーウェイが次々と5G対応のスマートフォンを発売済み。9月には、3大通信キャリアが5G用通信プランの予約を開始しています。こうした状況を踏まえ、いま中国株に投資するとすれば、どのような銘柄が有望視されるのでしょうか。
アジアで進む「スマートシティ計画」、日本にビジネスチャンスはあるか
「キャッシュレス」と並ぶ投資テーマ
現在、日本では政府主導でキャッシュレス決済への移行が進められています。関連企業もさまざまな特典を付与して、シェア争いを繰り広げています。日本はこれから本格化を目指すという段階ですが、中国をはじめ、アジアの国々では現時点で日本より一歩も二歩も先を進んでいます。キャッシュレスと併せて推進されているのが、スマートシティの開発計画です。これはAI(人工知能)などを活用したハイテク都市を作り上げようとする政策で、関連プレイヤーが次々に参入してきています。そして、そこには新たなビジネスチャンスや投資の好機が潜んでいる可能性もあります。
日本人はインドネシア「首都移転」の何を注視しておくべき?
3.5兆円規模の大プロジェクト
首都機能の移転を正式に決定したインドネシア。10月に2期目に突入するジョコ・ウィドド政権にとって、首都移転プロジェクトは、4月に開通したジャカルタの都市高速鉄道(MRT)に匹敵する目玉のプロジェクトになりそうです。しかし一方で、インドネシアの首都移転構想は、スカルノ大統領に始まる歴代政権でもたびたび浮上しては進まなかった経緯もあり、実現に懐疑的な声も見受けられます。日本に住む投資家は、どのような点を注視して、今後の動向をチェックすればよいのでしょうか。
高成長が続く「中国ネット通販」、米中摩擦もどこ吹く風のワケ
盛り上がる「618ネット商戦」
米中摩擦がエスカレートする中、中国のネット通販市場は順調に拡大し続けています。アメリカの経済誌「ウォール・ストリート・ジャーナル」は中国ネット通販最大手アリババ(ティッカー:BABA)の決算好調(8月15日発表)を受けて、「中国景気減速どこ吹く風」と題した記事を掲載しました。その理由の1つとして、「618ネット商戦」での売上高が過去最高を達成したことを挙げています。この2日前には、アリババに次いで中国ネット通販国内2位のJDドットコム(JD)も四半期決算(8月13日)を発表。こちらも「618ネット商戦」が好業績に寄与し、四半期ベースで過去最高益を達成しました。この2社で中国のネット市場シェアは約9割を占めていますので、中国のネット通販市場は相対的に米中摩擦の影響をそれほど受けていないといえます。
話題の「人工肉」、ビヨンド・ミートに続く有望企業は?
上場3ヵ月で株価は5.8倍に
植物由来の人工肉が世界の投資家の注目を浴びています。きっかけとなったのは、5月2日に米ナスダック市場に上場した「ビヨンド・ミート」という新興企業。エンドウ豆など植物由来の成分から本物の肉に似せた食品(人工肉)を製造する大手メーカーです。同社の公開価格は25ドル、上場初日の初値は46ドル、直近8月16日の終値が約145ドルと、高値からは反落したものの公開価格の約5.8倍まで上昇。2018年の純損益は赤字で、PSR(株価売上高倍率、時価総額を年間売上高で除して算出)は約100倍と非常に割高ですが、それだけ人工肉の将来性に対する投資家の期待も強いといえます。この米国発の人工肉ブームは、膨大な人口と潜在的な食糧問題を抱える中国でも注目されており、現代科学に基づく人工肉の開発が進められています。今回は、ビヨンド・ミートに続く可能性がある有望企業について解説したいと思います。
世界4位の経済大国に?インドネシアの長期的投資価値
NEXTユニコーンも続々
世界各国で金融緩和の動きが強まっています。7月18日には、インドネシアも約2年ぶりの利下げを実施しました。政策金利は6.0%から5.75%に引き下げられています。ここ数年のインドネシアは景気低迷が長期化する中で、通貨ルピアも弱含みで推移していましたが、直近はようやく相場も安定してきました。特に昨年インドネシアで立て続けに実施された利上げは、ルピア相場の安定を主目的としたものでしたが、ようやく景気重視に軸足を移しつつあるといえるでしょう。4月に実施された大統領選挙を経て、2期目がスタートしたジョコ政権にとって初めての政策転換です。7月23日にIMF(国際通貨基金)が発表した「エコノミックアウトルック」では、世界全体、国別ともに、成長率予想の下方修正が目立ちました。世界的に米中問題、日韓問題などさまざまな難題が山積する中で、今後のインドネシア・ジョコ政権の課題や注目ポイントなどについて考えてみたいと思います。