植田新総裁、デビュー戦後の円安はなぜ起きた−−予想以上にハト派だったからは本当か?
相場の結果にも行き過ぎや間違いがある
4月28日(金)、植田新総裁が初めて出席した日銀の金融政策決定会合が行われると、金融政策の変更などはありませんでしたが、日本の金利は大きく低下し、連れたように為替相場もその日のうちに1米ドル=133円台から136円台まで、約3円も米ドル高・円安となりました。これを受けて、「予想以上に円安に動いたのは、植田日銀体制が予想以上にハト派(金融緩和支持の意味)だったため」との解説も聞かれましたが、いろいろ「間違い」があるかもしれません。
いつまで「米ドル買いトレード」は有効なのか米ドル安・円高が本格化する条件とは?
注視すべきFRBの動き
米ドル/円は2022年に、10月にかけて、1米ドル=151円までほぼ一本調子で上昇しました。ところが、2022年10月の151円から下落に転換すると、2022年は下落(米ドル安・円高)と上昇(米ドル高・円安)が、ほぼ1ヵ月ごとに変わる展開が続きました。このように方向感が目まぐるしく変わる相場を、クルクルとよく動く猫の目に例えて「猫の目相場」という呼び方もあります。それにしても、歴史的な円安から円高に転換したとの予想から、米ドルより低い金利の日本円を買うトレード戦略に転換した投資家は、意外に大きく円安に戻す度に、金利と為替差損でダブルパンチを余儀なくされた例もあったようです。私は2023年も、高い金利の米ドルを買うトレード戦略は、もうしばらく有効ではないかと考えているのですが、その理由をこれから述べていきます。
日銀・植田新総裁のもとで「緩和見直し=円急騰」は起きる?日本の金利による為替への影響を紐解く
アナリストが指摘する「間違い」とは
4月8日(土)の黒田日銀総裁の任期満了に伴う退任を受けて、植田新総裁の体制がスタートします。植田総裁が出席する最初の日銀金融政策決定会合が4月27日(木)〜28日(金)に予定されています。この会合で早速、黒田総裁の下で行われてきた金融緩和の見直しを行う可能性がありそうです。さすがに、最初の会合で金融緩和見直しに動かないとしても、近いうちに行われるとの見方が多いようです。ではその時には、円金利が上昇し、円高に大きく動くことになるのか考えてみたいと思います。
金融システム不安が急浮上、為替相場は米ドル高から米ドル安に転換していくのか?
1998年の事例に学ぶ金融不安時の為替相場の動き
シリコンバレー銀行(SVB)という名前は、私も今回初めて知ったのですが、そんな大手とはいえない銀行であるSVBの経営破綻をきっかけに、金融システム不安が急拡大するところとなりました。為替相場はこれまで、インフレ対策で米国の中央銀行であるFRB(米連邦準備制度理事会)はどこまで金利を上げるのか、そんな米金利上昇に連れて米ドル高がいつまで続くのかがメインテーマとなっていました。しかし、金融システム不安の急浮上により、FRBは今後、金融不安への対応として金利を下げる必要に迫られる可能性があり、それなら「米金利低下=米ドル安」リスクを考える必要があるのかもしれないといった具合に、米ドル高から米ドル安へ見通しが180度転換しかねなくなりました。金融不安がテーマになった時の為替相場の動きとは、どのように考えたらいいのかと困ったら、まずは「歴史に学ぶ」ことから始めるのが一つかもしれません。
日銀とは無関係?円高から円安への反転劇を演出した「主役」は誰なのか
「予想以上の米金利上昇」は間違い?
2023年の年明け早々に130円を大きく割れた米ドル安・円高が何だったのかと思うほど、2月以降は米ドル高・円安に大きく戻してきました。なぜ円高は行き詰まり、そして大きく円安に戻したのか−−この円安への反転劇の「主役」について、今回は述べてみたいと思います。
為替アナリストが「円安151円の更新は2030年以降になる」と考える理由とは
為替アナリストが「円安151円の更新は2030年以降になる」と考える理由とは
一時1米ドル=130円を割れる米ドル安・円高となりましたが、2月に入ると130円を大きく上回る米ドル高・円安に戻してきました。「円安復活で、ひょっとしたら2022年10月に記録した151円の更新に向かう可能性もあるのか!?」と、思う方はさすがにいないでしょうか。そうですね、さすがにそれは無理だと思います。あの151円の円安を更新するのは、早くても5~6年以上先、「早くて」そうなので、普通なら2030年以降の話になるのではないかと考えます。しかし、この円安も思っている以上に進むかもしれません。
FX予想「できること」「できないこと」の見極め、米ドル急騰の「雇用統計ショック」は想定内だったのか?
ポイントは為替相場の「行き過ぎ」
2022年10月にかけて展開した「止まらない円安」から、11月以降は「止まらない円高」に一変しました。ところが、2月3日(金)の米雇用統計発表をきっかけに、その流れは大きく米ドル高・円安へ戻す動きとなりました。この「雇用統計大相場」にどう対処すべきだったのか−−今回はFXトレードにおいて不可欠である相場の予想について、「できること」「できないこと」をどう見極めるべきか、説明したいと思います。
「円安170円」から「円高100円」への予想大転換は間違い−−日銀政策が為替へ及ぼす影響を読み解く
見るべき「客観情報」は?
米ドル高・円安は、2022年10月には1990年以来、何と32年ぶりの水準まで達しましたが、その後米ドル安・円高に急変すると、2023年に入って早々、130円も大きく割り込む動きとなりました。皆さんの周りでも、「この円高はまだまだ続きそうだ」「110円、100円になる可能性もある」といった、一段の円高を予想する人が増えてきたのではないでしょうか。今回は円安から円高へ、短期間で予想が大転換するということがあるのかについて、考えて見たいと思います。
日銀による金融緩和転換で「円一段高になる」は本当なのか−−アナリストが指摘する「間違い」が起こりうる理由
円金利上昇は買い材料にならない?
基本的に為替相場は12月下旬、クリスマス前後は小動きになります。欧米の投資家がクリスマス休暇になり、薄商いとなるためです。ところが、2022年の12月下旬は違いました。クリスマス直前に、米ドル/円の急落が起こったのです。きっかけは、日銀の金融政策だったので、「日銀ショック」とも呼ばれたこの米ドル/円急落の背景と、今後の見通しについて考えて見たいと思います。
2023年に起こりうるFXトレードの「間違い」、トレンド転換に潜むリスクとは?
2022年の「間違い」もデータで読み解く
2022年は、1990年以来となる約32年ぶりに1米ドル=150円を越えるなど、記録的な米ドル高・円安が展開しました。とくに3月から10月にかけては、円より金利の高い米ドルがほぼ一本調子で大きく上昇したので、米ドル買い・円売りトレードは、「2022年の投資行動において最も利益を上げた取引」との指摘もありました。ただそういった中でも、あまり利益を出せなかったり、逆に損を出してしまったりといった具合に、FXトレードにおける「間違い」の例はあったようです。今回は、2022年のFXトレードの「間違い」を振り返りながら、さらに2023年に起こりうる「間違い」についても述べてみたいと思います。
2023年の米ドル/円の見通しは?ボラティリティが一変する可能性も
記録的な米ドル高・円安の要因から紐解く
2022年は、1990年以来約32年ぶりの米ドル高・円安を記録するなど、歴史的な相場展開となりました。では来年、2023年の見通しはどうなるか−−「今度は一転して凄い円高になるとか!?」「円安でも円高でも、まだまだすごく動きそう」など、さまざまな憶測がされていますが、どうでしょうか?「勘」ではなく、論理的に考えて見ましょう。
歴史的円安は151円で終わったのか−−トレンド転換を見極めるコツとは?
過去のトレンドから客観的に判断する方法
10月に1990年以来約32年ぶりに1米ドル=151円まで米ドル高・円安となりましたが、11月以降は一時140円を大きく割り込むほど米ドル安・円高に戻しました。歴史的円安は、あの151円で終わったのでしょうか?為替相場の継続的な動きを「トレンド」と呼びますが、円安から円高へのトレンド転換も、後から振り返ったら「あの時が転換点だった」といった具合に、基本的には事後的にしか分かりません。ただそんな転換点の見極めは、なるべく早い方がよいでしょう。そこで、今回はトレンド転換の見極め方について考えて見たいと思います。
なぜ米ドルは急落したのか?超円安の「日銀犯人説」や「構造説」の誤解
過去のデータで読み解く為替相場にある真理
米ドルは、11月10日(木)に発表された米10月CPI(消費者物価指数)をきっかけに、一時140円を割れるまでの急落となりました。10月に、1990年以来、約32年ぶりの150円を越える米ドル高・円安となった時には、「新たな円安時代」においてまだまだ通過点のような論調も少なくありませんでしたが、ちょっとムードが変わったのではないでしょうか。しかも、それは日銀の金融緩和が不変の中で起こったということも、じつは重要だったのではないかと考えます。今回は、記録的な「超円安」が展開する中で広がった、日銀の金融緩和が主因だといった指摘、構造的な円安なのでまだまだ続くといった考え方などは、やはり「間違い」だったのではないかといった視点で再検証してみたいと思います。
円安が「日銀の金融緩和のせい」は本当なのか?アナリストが指摘する論理的な矛盾
金融緩和と為替介入の関係性
10月28日(金)、日銀の金融政策決定会合で金融緩和の継続が決定され、その後、黒田日銀総裁の記者会見が始まると、それまで146円半ばで推移していた米ドル/円は米ドル高・円安へ大きく動き出しました。これは、最近の黒田日銀総裁会見後の「お決まりパターン」のようになっていますが、実は「間違う」リスクがあるということを、今回は説明したいと思います。
歴史的な円安でも1ドル200円にはならない理由−−現実的に円安はどこまで進むのか?
極端に行き過ぎた相場で起こる反応とは
米ドル高・円安が止まりません。ついに1998年の米ドル高値も更新し、1990年以来、約32年ぶりの米ドル高・円安となってきました。これまで経験したことのない円安が起こっていると言えます。そんななか囁かれるのが「1米ドル=200円へ向かってまだまだ円安は続くのか」と言うことですが、それはさすがに違うと筆者は考えます。その理由について説明していきます。
24年ぶり為替介入は予想外ではなかった…予告していた財務官の発言とは
「今回の介入は無駄」は本当なのか?
2022年9月22日(木)に、何と1998年6月以来、24年ぶりに政府・日銀による米ドル売り・円買い介入が行われました。これは「予想外」と受け止めた方が多かったようです。その上で、効果のない無駄な行為といった否定的な見方も少なくなかったようです。ただ、どちらも「間違い」の可能性があるのではないかということを、今回は説明してみたいと思います。
140円での米ドル売り後にさらなる円高−−早過ぎた利確の失敗を回避できた3つの理由
「感覚トレード」から抜け出すための知識
為替相場は相変わらず、激しい値動きが続いています。米ドル/円相場は、9月に入ると一気に140円の大台を超えると、そのまま145円に近付くまで一段高となりました。こうした中で、こんな話を聞きました。「140円を超えたところで米ドル買いのポジションを決裁したんです。利益は出たのですが、その後さらに米ドル高になったから、米ドルを売るのが早過ぎたと反省しています」要するに、もっと大きな利益を上げられたはずなのに、「儲けそこなった」ということで、損をしたわけではないので、「うらやましい不満」と言っても良いかもしれません。それにしても、このように大幅な米ドル高・円安が続くと、「さすがにもう終わりも近いだろう」と考えるのも人情でしょう。ただ、そんな「感覚トレード」は、実は回避できた可能性があることについて今回は説明したいと思います。
円高リスクでも外貨運用が必要な理由、現実味を増す円資産だけを保有するリスク
背景にある日米経済の構造変化
まだ外貨運用を行っていない、これから始めようと思ったら「歴史的円安」となっていたといった方々はどうしたらよいのでしょうか?前回は、割高局面での短期戦略について説明してきました。(1)投資額の抑制(2)ストップロスを付ける(3)小まめな利益確定といった3つの方法を解説しましたが、2・3などは「面倒そうで自分には無理!」と感じた方も少なくなかったかもしれません。割安局面での長期保有に比べると煩雑に感じそうですね。たしかに割高局面での外貨買いは、長期保有に比べると煩雑です。ただそれまでしても、米ドルなど外貨への投資を始める時代になっている可能性はあるのかもしれません。それは、円相場を取り巻く環境で構造変化が続く中で、かつてより円高になりにくく、円安になりやすい可能性が出てきたからです。