窪田真之の「ここだけの話」
数々の連載を抱える楽天証券のチーフ・ストラテジストが、25年に及ぶファンドマネージャーとしての実績を生かし、注目企業の業況や経済動向を深掘り解説します。
好景気に黄信号?ガソリン価格と景気の無視できない相関
危険水域は「リッター160円」
百貨店での販売が好調です。外国人観光客の買い物増加が貢献しています。ただし、理由はそれだけではありません。株高の恩恵で、宝飾品など高額品の売れ行きが好調といいます。日本の消費がひさびさに元気を取り戻していると考えたいところです。ただ、冷静に考えて、株高の恩恵を受けられるのは、一握りの富裕層だけです。国民全体に恩恵が広がっている感覚はありません。日本の消費が本当に元気を取り戻すには、もっと賃上げが広がる必要がありますが、今のところ、好景気でも賃上げは広がりません。一方、家計にとって、気になる兆候も出ています。ガソリンや食品、宅配便など、国民生活に直結する分野で、値上がりが目立つようになってきたことです。その中身をくわしく見てみると、景気変調の先行指標に“黄信号”が灯るかもしれない状況が浮かび上がりました。
小売業界で独り勝ち、百貨店はなぜ“復活”したのか
インバウンド消費は「第2幕」へ
百貨店の販売が好調です。日本百貨店協会が発表した9月の全国百貨店売上高は4,351億円(全店ベース)で、既存店(開業から1年以上が経過した店舗)の販売は前年同月に比べて4.4%増加しました。コンビニが4ヵ月連続、スーパーも2ヵ月連続で前年同月の売上高を下回る中、唯一健闘した感のある百貨店。このところ、コンビニや専門店に客を奪われて衰退しているイメージもありましたが、再び元気を取り戻しつつあります。何が百貨店の復活を支えているのでしょうか。