はじめに
読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は内藤忍氏がお答えします。
内藤さんの著書『貯金が1000万円になったら資産運用を考えなさい』を拝読いたしました。「海外不動産投資は3,000万円の人から」と言われておりましたが、資産がなんとか1,000万円の自分ですが、海外不動産に非常に興味を持ちました。
資産1,000万円レベルで手を出すのは危険でしょうか? 日本の不動産のように大きなローンを組んで購入することは可能でしょうか? また、実際に買う場合に気をつけないと騙されてしまいそうなイメージが……。しっかりした会社を見つける方法はありますか? 質問ばかりですが教えていただけると幸いです。
(30代前半 独身 男性)
内藤: ご質問ありがとうございます。海外不動産投資にはメリットもありますが、もちろんデメリットもあります。
海外不動産投資の特徴は?
メリットとしては、債券に比べてインカム収入が大きく期待できる、実物資産の安心感がある、減価償却など税制上のメリットがある、市場の効率性が低く割安に物件を購入できる可能性がある、といった点です。
逆にデメリットとしては、取引コストが高いので短期の売買には向かない、流動性が低いので資金化に時間がかかる、投資金額が大きいので資産が小さい人には難しい、といった制約があります。
金融資産が1,000万円の段階で海外不動産投資を始められることは正直おすすめいたしません。
投資金額が資産金額と同じくらいになってしまい、流動性を失うことは危険だと考えるからです。
海外不動産のローンについて
海外不動産でもローンを組むことは可能です。ただし日本に比べると金利水準は高くなります。また担保掛目も国によって異なりますので確認しておく必要があります。
海外不動産投資は最低でも5年、できれば10年単位で考える投資です。その期間、「現金化できなくても大丈夫」といえる資金で行うべきです。
また、ご指摘の通り、海外不動産投資では現地のどの業者と付き合うかが非常に重要になります。物件を紹介してくれる会社だけではなく、購入後に賃貸に出す場合に管理してくれたり、テナントを探してくれる会社があるかないかで投資の成果が変わってきます。
私も海外不動産投資をする場合は、物件だけではなく、現地の販売会社、管理会社をチェックして、信頼できる会社が見つかった際にだけ投資するようにしています。
いずれにしても海外不動産投資は、ある程度まとまった長期で投資できる資金ができた時点で検討すべき投資対象であると考えます。